液体を運ぶトラックと聞いて、誰もが思い浮かべるタンクローリー。運搬する液体の種類は数多くあるが、通常の荷物と違って液体を運搬するということは、見た目以上に物理学との戦いなのだ。それは液体が動くと重心が激しく移動するからというのが大きな理由でもある。そのためタンクローリーは各種液体を安全に運ぶための驚きの工夫が詰まっているので、その種類や詳細を解説していこう。
「スロッシング現象」
液体を運ぶ途中でブレーキをかけた場合、タンク内の液体が前にドサッと移動し、その衝撃でトラックが押し出されてしまう。これがスロッシング現象だ。
「防波板」
防波板はバッフルプレートとも呼ばれタンク内に何枚か縦に設置されている。この防波板によって、タンクの中はいくつもの部屋に分かれている。また穴の空いた板が設置されていることもあるが、どちらも液体の波を打ち消し、急ブレーキ時の大事故を防いでいる。
「危険物ローリー」
ガソリン・化学薬品を運ぶローリーで最もよく見かけるタイプ。危険物を運ぶために安全対策が徹底されている。例えば底出し(ボトムローディング)と呼ばれる機構があり、危険な液体を底から入れる方法だ。昔はタンクの上から注油していたが、この方法だとガソリンが落ちる時の静電気で火花が散る危険性があったため、いまではボトムフローティングとなっている。
さらに静電気除去対策もされており、これはトラックの後ろから地面に垂れているチェーンによって静電気を逃がしている。

「食用品タンクローリー」
食品用を運搬するタンクローリーはミルク・醤油・お酒などが運搬物だ。口に入るものを運ぶため、構造自体が巨大な魔法瓶のようになっているのが特徴。こうした食用品タンクローリーはピカピカのステンレスタンクを搭載しているが、これはステンレスの鏡面仕上げにして、内部で菌が繁殖しないようになっている。またタンク内部も凹凸が一切ない鏡のようなステンレスで作られている。菌の繁殖を抑えるためのステンレスタンクだが、洗浄機能を持っており、目的地で中身を降ろした後、自動で中を洗浄・殺菌するシステムを備えているものが多い。

「LNGローリー」
高圧ガス・液化天然ガスなどの運搬もちょっとした化学のことを知るいい機会になる。液体は「冷やす」か「圧力をかける」と体積が小さくなるため、LNGローリーでは超低温で運ぶことになる。LNG(液化天然ガス)は、-162℃まで冷やして液体にし、外気の影響を全く受けないよう、魔法瓶をさらに強化したような「二重殻構造」になっているのが、タンク部分だ。さらに中は真空に保たれている。

5. コンクリート混練車(ミキサー車)
実はこれも「液体(半流動体)」を運ぶ専用車の一種。走っている、もしくは停車中でもずっと回っているのは、中の生コンクリートが分離したり固まったりするのを防ぐため。後部のドラム内は巨大なネジ型の羽根がついており、右に回すと奥へ(混ぜる)、左に回すと外へ(出す)という仕組みで、ポンプを使わずに荷降ろしをすることができる。
こうしたタンクローリーだが、運搬物には驚くほど種類があるので、その一部を紹介しておこう。

牛乳、醤油・みりん、食用油: サラダ油、液体チョコレート、お酒、液糖、ミネラルウォーター、硫酸・塩酸・硝酸、エタノール(アルコール)液体窒素、液体酸素水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)生コンクリート、水、潤滑油、噴尿・汚水(バキュームカー)など。
