自動運転を見据えた高速道路の次世代交通システム

各地で実証実験が行われるようになり、自動運転はここ数年でにわかに現実味を帯びてきた。すでに、車線や車間距離などを認識するシステムは実用化段階にあり、安全運転補助装置として様々な車両に搭載されている。これらの多くは、カメラやミリ波などを使用したセンサーにより、車線・他の車両・障害物・人などを認識して、警告を発したり制動をかけたりするといったシステムだ。

昭和の時代であればクルマはステイタスや嗜好品としてとらえる人たちも多く、自らの手で操ることに価値が見いだされる傾向が強かった。しかし、安全性・利便性・効率性などが追及されるようになると同時に、技術の進歩でコンピュータ部品が増えたことにより、クルマの制御が人の手を離れるようになっていったのである。

とはいうものの、道路交通は極めて複雑だ。人・自転車・バイク・車両などが頻繁に行き交い、道路には交差点・曲がり角・行き止まりのほか、信号・標識などが設置されていて細かなルールも存在する。これらを正確に把握して、最適な運転操作を機械に代行させるのは容易なことではない。あと1歩のように見えても、一般道路における完全自動運転には、まだ相応の時間が必要だといえよう。

ただ、高速道路の場合は状況が違う。ゆりかもめなどといった新都市交通の例を見ればわかるように、専用線を使うなど限定された条件下における完全自動運転は、すでに実用化の段階にあるといってよい。高速道路は人・自転車などが通行しておらず、障害物などもあまり多くはないといった状況にある。規制標識などは存在するものの、基本的には信号も設置されていない。加えて道路自体が高度に整備されており、合流や分岐もスムーズに行えるように設計されている。すなわち、道路の状況が限定的な条件下にあるといってよいだろう。

こういった背景のもと、高速道路各社は独自に交通システムに関する実証実験を開始している。中でも自動運転に直結すると期待されているのが、東北自動車道の鹿沼IC~宇都宮IC間で実施中の、「次世代高速道路の実現に向けた実証実験」だ。ここでは、高速道路上で発生するアクシデントをリアルタイムで監視するシステムと、次世代型のハイウェイラジオ(E-ハイラジ)の構築・運用を目指している。

監視システムは、対象区間の路側に多機能ポールを300mごとに設置し、事故の発生・故障車両・落下物などを、画像情報としてリアルタイムに収集するというもの。それらの画像はAIで分析し、何が起きているかを検知・判断するといった仕組みになっている。この情報は、E-ハイラジを通じて高速道路を通行しているドライバーに提供される。

この実験では収集する情報の精度や処理の迅速性、さらに提供した情報がドライバーに与える効果などを検証している。自動運転に応用する際には、この情報をデータ化して車両側の自動運転AIに送信。自動運転AIは受信した情報を分析し、車両コントロールの判断材料にするといった使い方が考えられている。高速道路を無人のトラックが荷物を運ぶという未来は、すぐそこにまできているようである。

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