地球温暖化問題に端を発して世界的な脱炭素化が進む中、二酸化炭素を吐き出す化石燃料内燃機関を使用している車両から、電気自動車(Electric Vehicle、EV)に移行しようという動きが活発化している。ただ、わが国ではその流れこそ踏襲しているものの、ハイブリッド車・水素自動車・燃料電池車・CNG車など、様々な選択肢があって試行錯誤を続けており、EV化が進んでいるといえる状況にはない。

たとえば、2025年2月のEVとPHEV(Plug in Hybrid Electric Vehicle、充電可能なハイブリッド式電動自動車)の新車における販売比率はわずか2.66%。新車が100台売れたとしても、その中でPVやPHEVは3台と売れていないのだ。その理由は、価格・1充電の航続距離・充電インフラ・充電所要時間・充電の規格などが、ユーザーの利便性やニーズと合致していないことによるとされている。
とくに大型トラックや観光バスといった車両総重量が重くて長距離を走る車両は、ディーゼル機関の方が多くの面で優位性が高く、EVがこれを上回るところにまでは至っていないのが現状だ。環境問題は決して軽くないものの、公営交通を除いた運輸・運送事業が営利事業である以上、経済性を無視することはできないのだろう。
とはいえ、限られたエリアの中で比較的走行距離が短く、営業拠点の多いラストワンマイルの小型トラックなら、ある程度条件が整うのでEV化を進め易いといえる。こういった状況を受けて国内各メーカーからは、エルフEV・デュトロZEV・eキャンターといったEVトラックが発売されているのだ。

路線バスも同様で、1回の走行距離が短くて営業拠点が多いという条件を満たしており、EV化の条件がある程度整っているといえよう。しかし、国産EVバスはエルガEVやポンチョEVが、複数個所の運用される程度に留まっており、普及しているといえる状況にはない。これより先行しているのが国内のベンチャー企業で、EVバスに力を入れている中国で部品の調達などを行い、ファブレス方式(自社で工場を持たず、生産を外注する方式)で生産・販売している。
中国のメーカーも日本市場に興味を持ち、複数のメーカーがわが国にバス車両の輸出を行っている。すでに、複数の公営バス・民間事業者がこれを採用し、各地で運用が開始されているのだ。小型トラック市場でも、同様の動きが盛んになってきている。そのような中、2025年のオートモーティブワールドで注目を浴びていたのは、中国から輸入を予定している小型トラック「ZM6」である。
この車両が採用したモーターは、エネルギー効率が97%に達する高性能なもの。最大出力が115kwで、最大トルクは300Nmを叩き出す。これなら、ディーゼルエンジンにも決して引けを取ることはない。1回の充電で走れる距離は180㎞あるから、ラストワンマイルには十分対応が可能だ。安全装置も、衝突被害軽減ブレーキ・車線逸脱警報装置・前方衝突警報装置・車両安定性制御装置・車両接近通報装置・バックカメラシステムなどを搭載。

また、人間工学に基づく運転席シートを始め、視認性の高い7インチデジタルメーターディスプレイといった、操作性や快適性にも力を入れている。今後、こういった高性能なトラックやバスが、次々日本に上陸してくることは間違いない。コストパフォーマンスにも優れているので、今後のEVトラック・バス市場に良い刺激を与えてくれそうである。
