見た目は蟹、中身は超優秀!知られざる「カニクレーン」の世界へようこそ。

工事現場の関係者でもない限りじっくりと現場を観察するということはあまりないだろうが、運が良ければ工事現場の隅っこで細長い足を広げて踏ん張っている不思議な機械の姿を見ることができる。一般的にはあまり馴染みがないかもしれないが、実はこの建設機械の名前は「カニクレーン」。一度見たら忘れられないインパクト抜群のビジュアルなのだ。そのユニークな見た目とは裏腹に実はビルの中や神社の階段、さらには海外の有名美術館まで、世界中の「困った現場」を救っているヒーローなのだ。

カニクレーンは、その名の通り「カニ」のような4本の脚(アウトリガー)を持つが小型移動式クレーンのことだ。正式名称は「アウトリガー付クレーン」や「ミニクレーン」なのでカニクレーンは通称ということになる。このカニクレーン狭い場所での作業に特化した日本独自の進化を遂げた建機なのだが、じつは海外でもその利便性から「Spider Crane(スパイダークレーン)」の愛称で広く普及している。つまりその姿を日本ではカニ、海外では蜘蛛という捉え方をしているというわけだ。

こうしたカニクレーンだが、驚異的なのはそのコンパクトさだ。移動時は脚を折りたたむことで、一般的なドアを通り抜けられるほどスリムになり、なかには最小幅60cm程度のモデルもある。さらにクローラー(キャタピラー)で自走し、エレベーターに乗せて屋上や地下へ運ぶことも可能だというから、その汎用性は非常に優秀であるといえる。

もちろんその姿はユニークなだけでなく不整地や段差での安定性にも一役買っている。4本の長い脚を自在に張り出すことで、様々な場所でも本体を水平に設置できるので、その一部を紹介しておこう。

カニクレーンが活躍できる場所は非常に多岐に渡るが、例えば階段の途中階段の途中や、傾斜地や段差のある現場、軟弱な地盤など、一般的な建設機械では安定させることが難しい場所でも威力を発揮する。また屋内作業での排気ガス対策として、エンジンだけでなく電気モーターを併用できるハイブリッド仕様が多いのも特徴のひとつ。

ではさらにカニクレーンがどんな場所で活躍しているのかを紹介していこう。面白いところでは墓石の建立などがある。墓地という特殊な場所は大型重機が入れない山の上や狭い通路の奥にあることも多い。そこでコンパクトで高い機能性を持つカニクレーンが墓地での作業で活躍するというわけだ。

またビルの中・屋上: 設備機器の搬入や、屋上での看板設置、防水工事などもカニクレーンの得意なフィールドと言える。この他狭い場所での作業と言うことを考えると、社仏閣の改修:、伝統的な建築物の狭い境内や床下での作業にも向いているのだ。

さらにカニクレーンが活躍する場所としてよく例として挙げられるのが室内ガラスの取り付けだろう。室内である作業できる空間が限られていることなどから、 ショッピングモールや空港などの高所ガラスの嵌め込みではカニクレーンを使用するケースも多い。

見た目がユニークなカニクレーンだが、どんなに小さくても立派な建設機械であることは間違いない。こうなると誰でもカニクレーンを操作できるというわけではないのはお分かりだろう。実際にカニクレーンを操作するには、吊り上げ荷重に応じて以下の資格が必要となる。

具体的には0.5t以上〜1t未満:なら小型移動式クレーン運転特別教育。1t以上〜5t未満: 小型移動式クレーン運転技能講習。5t以上: 移動式クレーン運転士免許といったサイズ別の勉強が必要となる。特別教育や運転技能講習などというキーワードを聞くと、フォークリフトと同じようなステップを踏んで資格を得ることになるのだ。

では最後に専門的なカニクレーンの活用シーンをいくつか紹介しておこう。

ビル内・屋上での設備工事など大型クレーンが届かないビルの屋上に、別のクレーンでカニクレーン本体を吊り上げて設置する。また空調室外機の入れ替えなどのケースでは、ビルの隙間や屋上など、高所での重量物移動にはカニクレーンが最適と言える。さらにエレベーターの設置などは作業スペースが相当限られるため狭いシャフト内での部材吊り込みにもカニクレーンが活躍する。

また線路脇やトンネル内など、上部に架線や構造物があってブームを高く上げられない場所でも、カニクレーンなら低い姿勢から荷を吊り上げることが可能なのだ。

工事現場ならどこにでもあるというわけではないが、そのコンパクトさから使用されることが多いカニクレーン。その可愛らしい姿は一見の価値がある。もし工事現場の前を通る機会があれば、ちらっとチェックしてみるのは大いにアリ。もし工事現場で頑張っているカニクレーンの姿を見れば愛おしくなることは間違いない。

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