ちょっと想像してほしい、トラックの運転席に乗り込んだり降りるときの動作について。特に大型と言うわけではなく、2トンや4トンのトラックに一回でも乗り降りしたことがある人ならいかにそれが重労働であるかわかるだろう。一般的な4トントラックですら、運転席への乗り降りは大変なのだから、より座面が高い大型トラックともなれば、何回も乗り降りするだけで、ちょっとしたトレーニングのような運動量になる。
トラックの乗り降りは、一見単純な動作に見えるが、実は全身を使うハードな運動に近い側面があるのだ。特に大型トラックや配送業務などで一日に何度も繰り返す場合、身体への負担は無視できないものになる。
そこで今回は、トラックの乗り降りにどのような大変さがあり、どこに筋肉痛が出やすいのかをリサーチしてみた。

まず乗り降りが「重労働」になる理由だが、これは運転席の高さが最大の要因だ。大型トラックの場合、運転席は地上から1.5m〜2m近い高さにあることも珍しくないのだから、それなりに筋力が必要なのは当然だろう。
そして、垂直移動の回数の多さも考えたい。配送業務などの場合、一日に数十回〜百回以上の乗り降りを繰り返すことになる。これはビルを何階分も階段で上り下りするのと同等だというから、その運動量は驚くべきものとなる。

実際にトラックに乗り込むとわかるのだが、素人なら数回も上り下りすれば息が上がってしまうほどだ。こうなると、体力が削られて思わぬ事故や怪我につながることもある。トラックの運転席からの落下事故は、特に大型トラックの乗り降り時(ステップからの滑り、踏み外し)に多発しており、腰や足の骨折・捻挫、最悪の場合は頭部強打による死亡災害につながる危険な労働災害なのである。
こうした事故を防ぐためにはいくつかの注意点がある。そのひとつが「三点支持の維持」だ。これは安全のために「右手・左手・左足」など三点を常に固定して動くという方法だ。
さらに急いでいる時にステップを飛ばして地面に飛び降りると、体重の数倍の衝撃が膝や腰にかかり、これが蓄積疲労の大きな原因となっている。降りるときは面倒くさいかもしれないが、確実にステップを利用すべきだろう。
ここまでの説明でトラックへの乗り降りが重労働であることはお分かりいただけたと思うが、筋肉痛もまたドライバーにとっては大敵なのだ。
筋肉痛になりやすい部位はトラックの乗り降りで酷使される部分であり、とくに太ももが筋肉痛になりやすい。これは段差を一段ずつ踏みしめて体を持ち上げる際に最も使われる筋肉だからだ。

そして、次に筋肉痛になりやすいのが下腿三頭筋と呼ばれる、ふくらはぎだ。全体重をつま先に力を入れてることで支えるため、パンパンに張りやすくなる。そのほかにも広背筋・上腕二頭筋(背中・腕)は:手すりを掴んで体を引き上げるために使われ、脊柱起立筋は狭い運転席から体をひねって外に出る動作のときに酷使される。これは腰への負担が大きく、筋肉痛だけでなく腰痛の原因にもなりやすいため、ドライバーはもっとも気を付けなくてはならないところと言える。
完全な自動昇降装置でもなければ、どうしても乗り降りにはそれなりの負荷がかかる。そこで、少しでも負担を軽減するためのポイントを解説しよう。
基本的には「ゆっくりした動作」が重要となる。降りる際は後ろ向き(車体側を向く)になり、一段ずつ足元を確認して着地するのが最も安全で筋肉への衝撃も少ない。またストレッチを習慣にしたり、滑りにくく、クッション性の高い作業靴や安全靴を選ぶことで、着地時の衝撃を吸収することも大事な要素だ。
とくに長距離移動で長時間同じ姿勢を保った後に、急に激しい乗り降りを行うと筋肉を痛めやすくなるので注意したい。
最後に予防策を少し紹介しておこう。トラックのタイヤやステップに手を突き、片足を大きく下げて踵を地面に押し付ける。これを20秒キープすることで、足首の柔軟性が戻り、着地時の怪我を防ぐことができる。
運転席での「お尻(大臀筋)」ストレッチは
お尻の筋肉が固まると、乗り降りの際に腰を痛めやすくなるので、座った状態で片方の足首を反対の膝に乗せ、背筋を伸ばしたままゆっくり上半身を前に倒しお尻の外側が伸びるのを感じながら深呼吸しよう。
大型車などの高い運転席の場合、毎日の積み重ねが数年後の膝や腰の健康を左右する。腰痛はトラックドライバーの持病であることも多いが、怪我をしないことが仕事を長く続けるためのコツということだろう。

