路線バスは少しでも収益を上げるため、車体に広告を掲載している。1つ1つの広告は、それほど大きなものではない。薄い金属板などに描かれたものを、ボディの側面や後部に設置されている枠に差し込む構造になっている。このやり方を採用しているバス会社は多いが、都市部では車体にラッピングをする方式が増えつつあるようだ。
営業車やトラックでも、自社商品・社名・会社の連絡先・ロゴなどを表示している車両は多い。箱バントラックなら壁面積が広いこともあり、中には会社の広告や従業員募集などを掲載している車両もある。これを事業化したのが、アドトラックなのだ。しかし、広告内容やスピーカーの音量に問題のあるものが、悪目立ちをしているようである。広告ではなく、個人的に箱絵などのアートを楽しむトラックドライバーも一定数存在し、マニアの間では注目の的になっているようだ。

このように、車両のボディに何らかのメッセージを掲載すれば、多くの人の目を引くことは間違いがない。ビルや駅の看板とは違って媒体が移動するので、広範囲な宣伝効果を期待することができる。それは、2輪車でも同じこと。荷台にBOX型のケースなどを載せて、そこに広告をすればよいのだ。
ということで、登場したのがスクーターの後部に台を設置して、液晶型の広告パネルをつけるという「Scoot Vision」である。ベースとなるのは、3輪のEVスクーター。この後部の台にあるBOXに、55インチの大型液晶パネルを設置。荷台の上部には太陽光パネルを取り付け、バッテリーの負担軽減を図るという工夫もある。

ベースが二輪車だから、車両の全長2.9mで全高は1.75mとコンパクト。その後方に設置されたディスプレイは歩く人や車両周辺に人たち、あるいはクルマに乗る人からちょうど見やすい位置になるのだ。大きなトラックとは違ってスケールインパクトは小さいものの、比較的近い位置からでも見やすいというメリットがある。
以前の大型液晶ビジョンは画像を構成する光源が大きく、一定の距離まで離れなければ内容を理解しにくいなどということもあった。しかし、現在はLEDを使用した液晶画面により細密な画像再生が可能になっているため、自宅でテレビを見るような感覚で広告内容を認識できる。二輪車による液晶広告は、アドトラックのように印象を重視した内容を広範囲に伝えるのではなく、紙芝居のように近距離にいる人を対象にして、詳細な情報を届けることに適しているということだ。

ただ、道路運送車両法・保安基準には灯火類に関する細かな規定があり、アドトラックを含めたLEDパネル・液晶パネルなどの光源を使った広告が、どこまで公道走行中に使用可能かは判断が分かれるところ。今後、法整備が行われることによって、その線引きが明確になっていくと思われる。とはいえ、動画はトレンドを作り出す重要なツールとして、現代社会に定着してきている。いずれ、走行中にも様々な情報を自由に流せるようになるかもしれない。そうなれば、新たなデバイスとして重要な情報発信源として成長するだろう。
