東名高速道路を走行中、前方の大型トラックが巻き上げた小石でフロントガラスが破損。原因とみられる象牙パイプの状況や運送会社とのやり取り、警察への届け出、ドラレコ映像による証拠集めまでを追った。
東名高速道路を走行中、前を走る大型トラックが巻き上げた小石によって、筆者のクルマのフロントガラスにヒビが入った。きっかけとなったのは、トラックの車体下部から長く張り出し、路面を擦っていた「象牙パイプ」だった。
ドライブレコーダーには事故前後の状況が残っていたが、それだけで相手側の責任が簡単に認められるわけではない。飛び石の原因がそのトラックだったことを、どこまで証明できるのか。ここから警察への届け出や映像確認など、証拠を集めることになった。
路面を引きずる「象牙パイプ」に嫌な予感

東名高速道路の下り線で中央車線を走っていたとき、筆者の前には冷凍車の大型トラックが走っていた。
そこで気になったのが、車体下部から伸びていた長い排水パイプだった。いわゆる「象牙パイプ」と呼ばれるもので、左右から車幅の外側へ大きく張り出していた。
昔のデコトラなどでは見かけた装備だが、最近ではそれほど目にするものではない。
しかも、その象牙パイプは単に長いだけではなかった。先端部分が路面に接触し、走行しながらズルズルと引きずられていたのである。
筆者はその状態を見て、「これ、そのうち何か起きるんじゃないか」と嫌な予感を覚えた。
しばらくして、そのトラックを追い越そうと車線変更した。ところが、ほぼ同じタイミングで前方のトラックも追い越し車線へ移動してきた。
その瞬間だった。
路面を擦っていた象牙パイプが、路肩付近にたまっていた砂利を巻き上げ始めた。
大量の小石が飛来してフロントガラスにヒビ

次の瞬間、こちらに大量の小石が飛んできた。
「バシッ」というかなり大きな音がして、フロントガラスを見ると中央付近にヒビが入っていた。
幸い、ドライブレコーダーは作動していた。前を走っていたトラックの姿はもちろん、荷台に書かれた会社名やナンバープレートも確認できた。
そのトラックは緑ナンバーの営業車だった。会社名もはっきり分かったため、近くのサービスエリアへ入り、その場で運送会社へ電話をかけた。
電話に出たのは、偶然にもその会社の社長本人だった。
筆者は事情を説明し、「そちらのトラックが巻き上げた石でフロントガラスが割れた」と伝え、補償について確認した。
すると返ってきたのは、「うちの車が飛び石を飛ばしたことが分かるのであれば対応する」という趣旨の回答だった。
一見すると当然の回答にも聞こえる。しかし筆者が引っかかったのは、「分かるのであれば」という部分だった。
つまり、前にそのトラックが走っていたというだけでは足りない。そのトラックが実際に石を飛ばし、それが筆者のクルマのフロントガラスに当たったことまで証明しなければならないということだ。
ここから話は簡単ではなくなった。
警察への届け出とドラレコ映像で証拠を集める

※画像はイメージです
このまま自費で修理することもできる。しかし筆者からすれば、原因はかなり明確に見えた。少なくとも何もせず、そのまま終わらせる気にはなれなかった。
そこでまず、高速道路の管理者へ飛び石被害を連絡し、高速道路交通機動隊にも来てもらうことにした。
約30分後、現場に交通機動隊の隊員が到着。事故の状況を説明し、その場でモニター付きのドライブレコーダー映像も確認してもらった。
ところが、ここでひとつ問題が出た。
使用していたドライブレコーダーは数秒ごとに映像を記録する方式だったため、小石が飛んできた瞬間そのものをピンポイントかつ現場で確認するのが難しかったのである。
そこで自宅に戻ったあと、映像が上書きされないように保存し、パソコンで改めて詳しく確認することにした。
フロントガラスに石が当たった際の衝突音と、その時間を照合。さらにドライブレコーダーにはGPS機能も付いていたため、発生した日時と場所も確認することができた。
この段階で、問題のトラックが事故直前に筆者の前を走っていたこと、その後方を筆者が走行していたこと、そしてそのタイミングでフロントガラスが破損したことを示す材料はそろいつつあった。
一方、その後は運送会社へ電話をかけても、なかなかつながらなくなっていた。
それでも、ドラレコ映像、GPSデータ、警察に届け出た記録という証拠は残っている。
翌日、筆者は対応してくれた交通機動隊の事務所へ、ドライブレコーダーの映像データを持参することにした。
果たして飛び石の原因をどこまで立証できるのか。そして運送会社は、どのような対応をするのか。
話は後編へ続く。
