【ルポ 後編】ドラレコに飛び石が映ってもダメ? 20万円の修理費を自己負担した結末

ドラレコには飛来する小石と前走車が映っていたが、原因車両の特定まではできなかった。警察や保険会社にも相談したものの立証の壁は高く、約20万円の修理費は自己負担に。飛び石事故で相手の責任を問う難しさを実体験した。

東名高速道路で、前方を走る大型トラック付近から飛んできた小石により、筆者のクルマのフロントガラスが破損した。ドラレコには飛来する小石や前走車の姿も残っていたが、「そのトラックが石を飛ばした」と証明するのは想像以上に難しかった。警察への映像提出、運送会社や保険会社とのやり取りを続けた末、筆者が直面したのは飛び石事故特有の「立証の壁」だった。

※画像はイメージです

ドラレコを警察に提出、それでも原因車両は断定できず

事故翌日、筆者はフロントガラスにヒビが入った瞬間と思われるドラレコ映像をパソコンで切り出し、交通機動隊へ持参した。

その場で映像を確認してもらうと、前方から小石が飛んできたこと、その直後に衝突音が入り、実際にフロントガラスが破損していることまでは確認された。

しかし、「前を走っていたトラックがその石を飛ばした」とまでは断定できないというのが交通機動隊の回答だった。

筆者から見れば、路面を引きずっていた長い象牙パイプが砂利を巻き上げたと考えるのが自然だった。しかし映像には、石そのものがどこから跳ね上がったのかまで明確には記録されていない。

状況証拠としてはかなり近づいている。それでも、相手側の責任を問うには「そのトラックが原因だった」という客観的な証明が必要になる。ここが今回の大きな壁となった。

交通機動隊からも運送会社へ事案があったことを伝えてもらったが、その後1~2日待っても会社側から連絡が来ることはなかった。

修理費は約20万円、弁護士特約も検討

フロントガラスの修理見積もりを取ると、費用は約30万円だった。

筆者は自身の車両保険を使うのではなく、加入している自動車保険の弁護士特約を利用できないか保険会社へ相談した。

確認すると特約自体は利用可能だった。ただし、保険会社が弁護士を手配し、すべての交渉を代行してくれるというものではなく、筆者自身が弁護士を探し、その費用を特約でカバーする仕組みだった。

保険会社からも相手の運送会社へ連絡してもらったが、返ってきた回答は以前と同じだった。

「飛び石が自社のトラックによるものだと証明できれば支払う」という趣旨である。

その後も筆者から何度か電話をしたが、運送会社から積極的な連絡はなく、電話にも応答が得られない状態が続いた。

「前の車から飛んだ石」を証明する難しさ

今回の一件で痛感したのが、飛び石事故における原因車両の立証の難しさだった。

高速道路には複数の車両が走っている。今回も問題のトラックの左側には別の車両が走行しており、その車両が石を巻き上げた可能性を完全には否定できなかった。

小さな石がタイヤや路面のどの位置から飛び出したのかを、ドラレコ映像だけで特定するのは難しい。たとえ飛来する石が映っていても、「どの車両が飛ばしたのか」という肝心な部分まで記録できるとは限らないのである。

結果として筆者は、相手側へ修理費を請求するだけの決定的な証拠をそろえることができず、約30万円のフロントガラス修理費は自己負担となった。

一方、緑ナンバーの営業車に長い象牙パイプが取り付けられ、路面を引きずりながら走行していた件については、トラック協会と国土交通省へ情報を伝えた。ただし、その後にどのような確認や指導が行われたのかは筆者には知らされていない。

飛び石事故では、「前のクルマから石が飛んできた」と感じることと、それを相手の責任として証明することはまったく別の話になる。

ドラレコがあればすべて解決するわけではない。今回の経験は、その現実を痛感させられる結果となった。

後日、事故現場付近を走っているときのことだ。渋滞していたついでに普段は気にも留めない路肩をじっくりと眺めてみた。すると、想像以上に大量の小石や砂利、ゴミが散乱していたのだ。この部分を排水パイプが通れば、飛び石がバシバシ飛んでくるのは当たり前だ。

たまたまの飛び石なら仕方ないと諦める気になるが、違法改造のトラックのせいで被害を被るのは納得がいかない。とはいえ、決定的な証拠がないと手も足も出ないという現実を考えた場合、ヤバそうなトラックには近づかないという自衛策しかないようだ。

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