ゲーマーが建機を動かす? eスポーツと重機の意外な接点

eスポーツと建機。一見すると無関係な組み合わせだが、画面を見ながら正確に機械を動かすという点では共通している。ゲームで磨かれた操作能力が、将来の建設現場を支える重要なスキルになる可能性がある。

ゲームの操作技術が建機の世界で生きる

世界的な競技へと成長したeスポーツ。画面上の情報を瞬時に判断し、コントローラーを正確に操作する能力は、単なる「ゲームのうまさ」ではなく、高い反射神経や空間認識力、状況判断力を必要とするスキルになっている。

実は、この能力と意外なほど相性がいいのが建設機械だ。

建設現場では、人手不足やオペレーターの高齢化などを背景に、ショベルカーなどを離れた場所から動かす遠隔操作技術の導入が進められている。カメラから送られてくる映像をモニターで確認しながら、レバーやコントローラーで建機を操作する仕組みだ。

つまり、実際の運転席に座らず、画面を見ながら巨大な機械を動かす。操作する対象こそゲーム内の車両ではなく本物の建機だが、入力された映像をもとに状況を判断して機械を操るという点では、ゲームとよく似ている。

プロゲーマーを育てる学校と運輸業界が連携

こうした共通点に注目した取り組みも始まっている。

プロゲーマーなどを育成する「KONAMI eスポーツ学院」と、運輸業界のデジタル化に取り組む「運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)」は産学連携を実施。学生に建設・運輸分野の自動化や遠隔操作技術を知ってもらう機会を設けている。

そのひとつが、遠隔操作システムを利用して建機を操る「e建機チャレンジ大会」だ。

ゲームに慣れ親しんだ若者が実際の建機操作に触れることで、建設業界そのものに興味を持ってもらう狙いもある。これまで建機とは接点のなかった若者が、eスポーツを入口として建設や物流の仕事を知ることになれば、新しい人材獲得のルートになる可能性もある。

また、ゲームプレイヤーから操作方法について意見を得れば、遠隔操作システムのインターフェース改善にもつながる。ゲーム業界で蓄積されてきた「直感的に操作できる仕組み」が、建機の開発にも生かされるかもしれない。

将来は「遠隔建機オペレーター」が人気職業に?

遠隔操作が活躍する場所は、通常の建設現場だけではない。

例えば土砂崩れや噴火、地震などによって人が立ち入ることが危険な場所でも、建機を遠隔操作できれば、安全な場所から瓦礫の撤去や復旧作業を行える可能性がある。遠隔技術の進化は、人手不足対策だけでなく作業員の安全確保にもつながる。

これまでゲームと建機は、まったく異なる世界のものに見えていた。しかし「モニターを見て機械を正確に操作する」という視点で考えれば、両者の距離は意外なほど近い。

将来、eスポーツで腕を磨いた若者が、その操作技術を生かして建設現場や災害復旧の最前線で重機を動かす。そんな「凄腕の遠隔建機オペレーター」が登場する時代も、決して荒唐無稽な話ではなさそうだ。

PHOTO GALLERY

ページトップに戻る