スーパーの棚はなぜ朝から商品でいっぱい?

開店直後から商品が並ぶスーパー。その裏では深夜から早朝にかけて物流が動いている。緻密な配送とドライバーの技術が、私たちの当たり前の買い物を支えている。

深夜から早朝に動く緻密な物流システム

朝10時、スーパーの開店と同時に足を踏み入れると、生鮮食品から日用品まで棚には商品が隙間なく整然と並んでいる。消費者にとってごく当たり前の光景だが、これは決して偶然などではない。深夜から早朝にかけて、街を駆け抜けるトラックの人知れぬ努力によって実現されているのだ。

小売店の物流は、緻密な計算と職人技の結晶といっても過言ではない。メーカーや市場から運ばれた商品は巨大な物流センターに集約され、そこで深夜のうちに店舗ごとに仕分けられる。そこからさらに、開店時間に合わせた緻密なスケジュールに沿って、各店舗のバックヤードまで届けられるのである。

とくに、食品輸送では「温度管理(コールドチェーン)」が命となる。冷凍・冷蔵・常温の3つの温度帯を、1つの車両で運ぶ混載トラックの場合は、架装メーカーの技術の粋を集めた保冷ボディと、ドライバーの細やかな気配りが不可欠なのだ。

気を遣うのは、運ぶ時だけではない。狭小な店舗のプラットホーム付けは、まさに神業。大型トラックを暗闇のなかで、数cmの隙間もなく寄せる卓越した運転技術が求められるのだ。

また、小売店舗の着荷場は広くない上にコストの問題から、フォークリフトなどのマテハン機器を導入しているところが少ない。パレットを使うことはほとんどなく、かご車・台車・手降ろしがデフォなのだ。すなわち、小売店舗に配送するトラックドライバーには、多方面にわたる高度なスキルが求められるのである。

「2024年問題」と理不尽な荷待ち時間

しかし、この「当たり前の光景」が崩壊の危機に瀕している。その理由は、「物流の2024年問題」。トラックドライバーの時間外労働に上限が設けられたことで、ドライバーの健康や安全な運行環境が守られるようになった。反面、従来通りの運行スケジュールが維持できなくなるという副作用を生んでしまっているのだ。

ドライバーの慢性的な人手不足と高齢化が進むなか、新規入職者は減少の一途を辿っている。加えて、ドライバーの労働環境を悪化させている大きな要因が、店舗や物流センター側の都合による理不尽な「荷待ち時間」。これがドライバーの労働時間を削り取り、ただでさえ限られたトラックの稼働率を大きく阻害しているのだ。

持続可能な物流へ

この難局を乗り越えるため、業界内外でさまざまな施策が試されている。たとえば、ライバル関係にある企業同士が手を組み、同じトラックで荷物を運ぶ「共同配送」。あるいは、ドライバーの肉体的な負担である手積み・手降ろしを、劇的に減らす「パレット輸送」の標準化などだ。

だが、物流インフラを根底から守るために最も重要なのは、我々消費者の「意識改革」なのかもしれない。「商品はいつでも棚にあって当然」といったサービスへの期待を、見直す時期にきているということである。

深夜の街中を、ひた走る物流トラック。それがこれからも日本の朝を支え続けられるよう、物流という社会インフラのあり方に共感し、応援する視点を持ち続けたいものだ。

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