トラックドライバーが出発前や帰庫後に受ける「点呼」は、単なる出欠確認ではない。飲酒や体調、車両の状態、道路状況などを確認し、安全に運行できるかを判断する重要な業務だ。業務前点呼と業務後点呼では、確認する内容にも違いがある。
出発前に確認する「業務前点呼」

事業用トラックの運行では、営業所を出発する前に「業務前点呼」が行われる。
まず重要なのが、ドライバーに酒気帯びがないかどうかの確認だ。顔色や受け答えなどの状態を見るだけでなく、アルコール検知器を使って確認する。前日の夜に酒を飲んでいた場合、本人に酔っている感覚がなくてもアルコールが残っている可能性がある。問題が確認されれば、そのまま運転させることはできない。
健康状態も重要な確認項目だ。体調不良の有無だけでなく、疾病、疲労、睡眠不足などによって安全な運転ができない状態ではないかを確認する。
特に長時間運転するトラックドライバーにとって、眠気や疲労は大きな事故につながる危険がある。本人が「運転できる」と考えていても、運行管理者が安全に乗務できる状態かを判断することが重要になる。
車両と道路の状態も出発前にチェック

点呼で確認するのはドライバーの状態だけではない。
出発前の日常点検を実施したか、その結果、車両に異常がなかったかも確認される。タイヤや灯火類、ブレーキなどに問題があれば、整備しないまま出庫することはできない。つまり点呼では、人だけでなく車両も「今日走って問題ないか」をチェックしている。
さらに運行管理者から、その日の運行に必要な指示が伝えられる。
走行する経路や予定時間をはじめ、道路工事、通行規制、渋滞、降雪、大雨などの情報も重要だ。事故が起きやすい場所や運行上注意すべきポイントがあれば、出発前に共有される。
点呼は単にドライバーを送り出すためのものではなく、その日の道路環境まで含めて安全運行の準備を整える役割を持っている。
帰庫後にも点呼を行い運行状況を報告

仕事を終えて営業所へ戻ると、「業務後点呼」が行われる。
ここでは、実際に走行した道路や交通状況、車両に異常がなかったか、事故やトラブルが発生しなかったかなどをドライバーが報告する。途中で別のドライバーへ交替した場合には、車両や道路、運行状況を適切に引き継いだかどうかも確認される。
帰庫後にも酒気帯びの確認があり、目視などに加えてアルコール検知器を使用する。
点呼で確認した内容は記録として残される。誰が、いつ、どの車両について点呼を受けたのか、酒気帯びの有無や健康状態、運行管理者からの指示などが記録される。
また、長距離運行などで業務前と業務後の点呼をどちらも対面で行えない場合には、「中間点呼」が必要になるケースもある。一定の要件を満たせば遠隔点呼や自動点呼といった方法も利用できる。
点呼そのものは短時間で終わる場合もある。しかし、その数分間で「人」「車」「道路」の状態を確認し、事故につながる危険をできるだけ早い段階で見つける。日々の物流を安全に支えるために欠かせない業務なのである。
