黄色く曇ったヘッドライトをきれいにするコツ

ある程度年数の経った車両の場合、ヘッドライトのレンズが黄色く曇ってしまうことがある。運転席に座ってしまえばヘッドライトレンズは見えないし、光量が極端に低下しているようには感じられないので、あまり気にならないのだが、正面から見ると薄汚くていかにも格好が悪い。

昭和のドライバーなら「昔のクルマではそんなことはなかったのに」と不思議に思うかもしれない。この曇りは、単なる汚れによるものではなく、実は材質に起因したものなのである。

ヘッドライトのレンズは、もともとガラスでできていた。ウウインカーレンズやテールレンズなどもそうであったが、軽量で加工がしやすいことに加えて、低いコストで調達できるという理由で、プラスチックに置き換わっていったのである。しかし、ヘッドライトレンズは精密なレンズカットが必要であることや、表面に傷がつきにくい材質でなければならなかったので、長くガラスが使われていた。

ただ、ガラスは強い衝撃を受けると割れてしまう。すなわち、耐久性に難点があったのだ。そこで注目されたのが、ポリカーボネートである。この素材は、合成樹脂の一種。いうなれば、硬いプラスチックといったところだ。熱に強くて、燃えにくい。透明度が高いことに加えて、ガラスより200倍強いといわれる耐衝撃性を持っている。要するに、ヘッドライトのレンズにもってこいの素材というわけだ。

とはいえ、欠点がないわけではない。素材自体はたいへん強くて壊れにくいのだが、表面硬度が弱いので傷が付きやすいのだ。また、紫外線・溶剤・アルカリ性の薬剤などに弱い。こういったものの刺激を受けると、黄化してしまうのである。年数の経った車両のヘッドライトレンズが黄色くくもっているのは、ほとんどの場合これが原因なのだ。

ただ、このことが直ちに運転を妨げるものではない。見た目の格好こそ良くないが、ドライバーは実害をそれほど感じないのである。ところが、現在導入が進んでいるロービームによる車検では、この曇りが光量不足などの原因になって、不合格になる可能性があるとされているのだ。そういった懸念を防ぐためには、あらかじめ黄色い曇りを除去しておかなくてはならない。

ところが、洗車したくらいではきれいにすることができないから厄介なのだ。ヘッドライトレンズの再生を請け負う事業者に頼めば一発だが、相応の費用は覚悟しなければならない。少しでも節約を考えるのなら、DIYでメンテナンスをすることになる。黄色い曇りはポリカーボネートの表面劣化なのだから、簡単にいえばそれを削り取ればよいのだ。

黄化の状態が比較的軽い場合は、市販のコンパウンド入り黄ばみ取りクリーナーで磨けば十分効果がある。このとき、ヘッドライトまわりのボディはマスキングをしておくことが大切だ。なぜなら、コンパウンドは塗装に悪影響を及ぼすからだ。

黄化の状態が進んでいる場合は、耐水ペーパーで黄ばみを削り取る必要がある。場合によっては、#800番ぐらいの耐水ペーパーを使わなければならない。仕上げは、#1000~#3000番ぐらいを使用すればよいだろう。

黄ばみが取れたら水洗いをしたのちに、コーティング剤を塗布すればOK。この場合も、マスキングをする必要がある。少し手間はかかるものの、費用は抑えられるので1度試してみるのもよいだろう。

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