
そもそも物流系の資格にはどんな種類があるのだろうか? ちょっと調べてみたところいろいろなことが分かったのでお伝えしよう。
まず基本的なことだが、資格には大きく分けて「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3種類がある。それぞれ「国家資格とはその名のとおり国の制度に基づいて、中央省庁や都道府県などが所管する資格・免許制度のこと」「公的資格とは国家資格ではないものの各省庁や大臣、地方公共団体や首長などが認定している資格のことを指す」「民間資格とは企業や学校、民間団体等が認定する資格のこと」と区別されている。
そのなかで自動車の運転免許は一番代表的かつ身近な国家資格といえる。また公的資格なら商品衛生責任者や防火管理技能者、臨床心理士などがそれにあたる。さらに民間資格は、あくまで知識や技能が一定水準に達していることを証明する目的で認定されているが、特定の民間資格を取得していることを採用条件としているのだ。
では業務の場所別に役立つ資格を見ていこう。まずは現場で働く上で役立つ資格からだ。
運転免許
これはもっともメジャーでありドライバーとして就職するのであれば必須の資格。中型免許や大型免許を取得していれば、業務の幅も広がる。
取得方法は教習所に通うか試験場で試験を受けるかだが、教習所の場合、普通自動車免許であれば取得費用は20万~30万円程度で、2~3ヶ月ほどで取得できる。
フォークリフト運転技能者
フォークリフトは物流倉庫や工場、貨物ターミナル、建設現場など、物が集まる場所には必ず需要があるためフォークリフトの運転者の需要が高い。このフォークリフトを運転するためには「フォークリフト運転技能者講習」という講習会を受けなければならない。取得には学科と実技が必須だが難易度はそれほど高くない。合格率は90%といわれている。1トン未満のフォークリフトなら座学だけでも資格が取得できる。
玉掛けクレーン

玉掛けとはクレーンのフックに荷物を掛けたり外したりする作業のことで、吊り上げ重量1トン未満の荷物を玉掛けするためには「玉掛け特別教育」という学科・実技研修を受けける必要がある。さらに「玉掛け技能講習」を受ければ吊り上げ重量1t以上の荷物を玉掛けできるようになる。
危険物取扱者

危険物取扱者とは消防法に基づく危険物(ガソリンや灯油、ニトログリセリン、ナトリウムなど)を取り扱う際、あるいは取り扱いに立ち会う際に必要となる国家資格。
危険物は第1種から第6種まで分類され、危険物取扱者資格はすべての危険物が取り扱える甲種、1~6種のうち特定の危険物のみが取り扱える乙種、第4種のうちガソリンや灯油などの限定された危険物のみを扱える丙種の3種類がある。
難易度がもっとも低い丙種は受験資格に制限がなく誰でも受験可能だ。その一方で、最難関である甲種はすでに乙種を取得している人、もしくは大学で化学を専攻した人などの受験要件があり、合格率は30%程度と言われている。
包装管理士
包装管理士は日本包装技術協会(JPI)が運営する民間資格。資格を取得するためには3ヶ月間の講座を受講し最終試験を受ける必要がある。また包装関連業務の実務経験があることが受講条件となっている。
海技士
海技士とは大型船舶(20トン以上)の乗組員、具体的には船長や航海士、機関長、機関士、通信長、通信士が取得すべき国家資格。一般的には商船系大学や商船高専などの教育機関に入って2年以上の教育を受けて取得するが「六級海技士短期養成課程」という10ヶ月半の教育課程を経て取得する方法もある。
ロジスティクス・オペレーション資格
ロジスティクス・オペレーション資格とは輸送管理や荷役、保管、流通加工、包装などの物流業務に必要な知識や技能を証明する民間資格。若手やリーダークラスを想定した3級と、中堅からマネージャークラスを想定した2級がある。
運行管理者
管理系の現場で役に立つ資格も多い。
運行管理者は、貨物や旅客の輸送業務において安全運行を管理するために必要な国家資格で一般貨物、特定貨物、軽貨物事業者は営業所ごとに一定の人数以上の運行管理者を置くことが義務付けられている。
物流技術管理士
物流技術管理士は日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が認定している民間資格で、取得することで物流業務全般の効率化や改善に関する知識とスキルを証明することができる。
物流経営士

物流経営士は全日本トラック協会が認定している資格で、都道府県トラック協会会員事業者の役員あるいは社員で貨物自動車運送事業及び貨物運送取扱事業又は物流部門に関連する業務に2年程度の実務経験がある人が対象。
総計106時間の研修に参加し、修了後の試験に合格したら資格が認定される。
倉庫管理主任者


倉庫管理主任者は倉庫内の火災や事故、労災防止、その他倉庫業務の適正な運営を確保するための管理、従業員への教育を実施する管理者のことを指す。
ロジスティクス管理
ロジスティクス管理は中央職業能力開発協会が認定する検定試験。3級と2級があり、物流の概念と物流管理、在庫管理、物流システム管理、物流コスト管理、物流システムなどの専門的知識が問われる。
ここで紹介した資格のほかにも通関士、貿易実務検定、国際航空貨物取扱士、国際物流管理士など聞き慣れないが、物流業界では約に立つ資格も数多くある。難易度が低く、比較的安価で取得できる資格も多いので、物流業界に興味ある、将来的に働きたいと思うなら可能な範囲で取っておいて損はないだろう。
