「第11回バステクin首都圏」が海の森水上競技場にて開催される

2025年10月31日に東京都江東区にある「海の森水上競技場」において、「第11回バステクin首都圏」が開催された。主催したのは「ぽると出版」。同社は主にバスや商用車を扱った雑誌・書籍を出版している会社だ。バス事業者やその関連事業者を対象としたイベントだが、登録することで一般人も入場できるから、バスファンや子供たちも多数来場した。

「はたらくくるま」や「大型商用車」といったカテゴリーのイベントや展示会は、各地でいくつか存在しているようであるが、バスに対象を絞ったものはなぜかほとんど見られない。それだけにこのイベントは希少であり、心待ちにしている業界関係者やファンは結構多く、出展社数は30社を超えている。

会場となった海の森水上競技場は、2020年東京オリンピック(開催は2021年)でボートなどの競技場として造られた施設。アクセスは必ずしもよいとはいえないが、東京臨海高速鉄道りんかい線「国際展示場駅」から無料シャトルバスが出ている。このほか、同線「東京テレポート駅」「新木場駅」、ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線「東京国際クルーズターミナル駅」「テレコムセンター駅」から都営バスがある。

会場は展示区画と試乗区画に分かれていて、展示区画の中央にはバスの実車がずらりと並び、その周りを取り囲むようにテント張りのブースが軒を連ねていた。実車はほとんどの乗車が可能で、内装やシステムに直接触れるなどの体験ができる。ブースには出展者が常駐し、展示されている新しい技術・システム・パーツなどの説明を行う。

展示車両のなかで比較的目立っていたのが電気バスだ。満充電状態からの走行距離は着実に伸びており、路線バスなら十分実用レベルにある車両が出展されていた。また、最新の安全システム備えた車両にも注目が集まっていた。カメラなどのセンサーを駆使して運転手の死角をカバーするだけではなく、AIを使って状況判断を行なうといったシステムはすでに実用段階だ。

話題性という点では、フルフラット型シートの登場であろう。鉄道では乗客が寝たまま移動可能な寝台列車を運行しているが、バスにはそのような車両が存在しない。ネックになっているのは、安全確保のためにシートベルトを装着しなければならないことだ。これをクリアしたフルフラット型シートが搭載可能になったのだから、注目されないほうがおかしいだろう。この展示車両では、バス事業者の社員が出展者の説明員に、細かな点までいろいろと質問している姿をそこここで見かけた。

テント内のブースでは、後付け可能なドライブレコーダーや安全支援システムといったパーツ類、あるいはデジタルタコメーター・運行管理システム・リビルト部品など、バス運行の利便性・安全性・経済性などを支援する展示が多く見られた。また、エンジンを止めた状態で使用できるクーラーなど、労働環境の改善と環境性を両立させたアイテムも、複数出展されていた。

試乗区画では事前申し込みによる運転体験と、乗り心地を味わう乗車体験が行なわれた。対象車両は主に電気バスで、運転体験では加速とパワーを、試乗では静粛性をそれぞれ実感できた。展示区画・試乗区画ともに決して広くはないが、バスは一般市民にも身近な存在であるだけに、こうしたイベントにもっと注目が集まって、規模を拡大しながら続くことを願ってやまない。

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