似ているようでも仕事は別物。輸送・運送・配送にはそれぞれ意味がある

近年、物流業界でも外国人労働者が活躍しているのをよく見かけるようになった。彼らは祖国から遠く離れた日本で、日々業務に精励している。日本で就業するために相応の技能を身に付けている彼らだが、何が一番難しかったかと問えば、それは「日本語」だと答える人が大多数だという。

「庭には二羽鶏がいる」のように、日本語は似たような漢字や読みの単語がたいへん多い。当然のことながら、物流用語にもややこしい単語があるのだ。それは、「輸送」「運送」「配送」である。すべての言葉に「送」が入っていて、一般人ならいずれも「ものを運ぶ」という程度の意味にしか捉えないだろう。しかし、物流業界ではそれぞれに明確な意味を持たせて使い分けているのだ。

「輸送」という言葉は、もともと「人やものをある場所から別の場所に運ぶ」という意味を持つ。物流業界でも同様で、荷物をトラックで拠点から拠点に運ぶことを指す。とくに、工場から物流倉庫に運ぶような場合に使われているために、長距離かつ多くの荷物を扱うイメージが強い。この言葉はトラックに限定されるのではなく、船や飛行機などで運ぶ場合にも使われている。物流全体の、基本的な概念とってよい。

「運送」も一般的には「輸送」と意味合いが似通っているが、「輸送」が純粋に運ぶ行為そのものを指しているのに対して、「運送」契約によって運ぶといった意味合いが強い。すなわち、個別の「輸送」行為を意味している。通常、「運送」はトラックによる陸上輸送のことを指し、飛行機や船には使用しないとされている。しかし、海上輸送を指す「海運」は「海上運送」の略だといわれており(「海上運輸」ともされる場合もある)、船による「輸送」を「運送」表現することもあるようだ。こういったところも、日本語の難しい部分である。

これらに対して、「配送」はもう少しわかりやすい。「輸送」は大規模に運ぶから、基本的に物流のスタートを表しているとされる。「配送」は「小口配送」のように、ラストワンマイルなどを指す言葉。すなわち、物流倉庫などから最終的な届け出先(着荷先)に運ぶことである。「輸送」が「一次輸送」といわれているのに習い、「配送」は「二次輸送」と位置付けられている。

現在は、主に小型や軽トラックが担っている分野だ。しかし、環境問題・トラックドライバー不足・小口配送の増加などから、バイク・自転車・リヤカーなどが増えてきてきた。また、自動配送を視野に入れた小型電動モビリティが注目を集めており、今後の展開に期待が寄せられている。

「送」は付いていないが、これらに似通った言葉としては「運輸」がある。「輸送」「運送」「配送」は具体的にものを運ぶ行為を指しているが、「運輸」は全体の仕組みやシステムを表す。行政機関では国土交通省の前身が運輸省と称しており、陸・海・空の「輸送」全般について政策を検討・実施していた。同じような言葉でも、間違って使用すると誤解を招きかねない。少々面倒に思うが、言葉の意味は正しく理解しておく必要がありそうだ。

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