雪国特有? 平洞門って知ってる?

平洞門(へいどうもん)と読む施設を知っているだろうか? たぶんそれがあるエリアに住む人でなければその形や役目を想像するのは難しいかもしれない。この平洞門、実は物流を担うトラックにとっても非常に重要な施設なのだ。そこで今回はこの平洞門についての説明をしていこうと思う。

平洞門とは主に山岳地帯や海岸沿いの道路において、落石、崩壊土砂、雪崩などから路面を保護するために設置されるトンネル状の構造物のことを指す。こう説明しただけで形が想像できる人はまだ少ないだろう。その具体的な形は画像を参考にしてもらうとして、もう少し深く掘り下げてみよう。

平洞門は一般的に「シェッド(Shed)」とも呼ばれ、その役割に応じて「落石防護シェッド」「スノーシェッド(防雪覆工)」などと分類される。主な特徴と構造はこうだ。通常のトンネルが「山を掘り進んで作る」のに対し、平洞門は「道路の上に屋根を架ける」ような構造をしている。片側が山の斜面、もう片側が谷側に開いている(支柱が並んでいる)開放型のものが多いのも特徴のひとつだ。材質は頑丈な鉄筋コンクリート(RC)やプレストレストコンクリート(PC)、鋼製で作られている。

そして平洞門は屋根にも工夫がある。その性質上、平洞門の屋根を見ることはなかなか難しいのだが、屋根の上には落石の衝撃を吸収するために砂(緩衝材)が敷き詰められていることが一般的なのだ。ドライブ中などに、平洞門を上から見下ろすシチュエーションに出くわしたらぜひ、その構造を観察してほしい。

ではなぜ平洞門が設置されるのか? これは斜面から落ちてきた岩石を屋根で受け止め、そのまま谷側へ受け流す落石対策なのだ。それに加え雪が道路に積もるのを防ぎ、雪崩を屋根の上を通過させて逃がすという雪崩対策でもある。そして小規模な崩落から通行車両を守る土砂崩れ対策が主な設置理由だ。

冒頭に平洞門を知っているかと質問を投げかけたが、なぜ多くの人がピンとこないのかと言うと、その名称を聞き慣れないからだろう。

そもそも平洞門に使われている「洞門」とは「ほら穴のような門」を意味する。地形を平坦に切り開いた場所に後から構築するため、「平(たいら)」な場所に作る洞門、あるいは断面が平坦な構造物といった意味合いで「平洞門」と呼ばれるのが名前の由来なのだ。

こうした平洞門だが、日本各地には、その土地の厳しい自然環境に対応するために建設された、技術的にも景観的にも特徴のある場所がいくつかある。そこでいくつか景観の良い平洞門を紹介しよう。

黄金道路(北海道・国道336号)

えりも町から広尾町に至るこの道は、断崖絶壁が続く難所で、建設に「黄金を敷き詰めるほど」の巨費が投じられたことからその名がついた。海岸線の険しい地形を守るために、延々と続く巨大なコンクリートシェッドが特徴。実際に走ると、まるで巨大な回廊の中を走っているような感覚になる。荒波から道路を守るその姿は、まさに土木技術の結晶と言える。

親不知・子不知(新潟県・国道8号)

北陸の交通の要所であり、かつては「天下の険」と呼ばれた難所。断崖が海に落ち込む地形のため、道路を確保するためにロックシェッドが連続している。シェッドのすぐ横に日本海の荒波が迫り、現代の技術がいかにしてこの険しい地形を克服したかを肌で感じることができる。

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