物流を支える数秒の交流の大切さ ラストワンマイル

物流におけるラストワンマイルとは、最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスのことで「最後の1マイル」という距離的な意味ではなく、顧客へ商品を届ける物流の最後の区間のことを意味している。

物流業界で長年課題とされてきた「ラストワンマイル(配送の最終拠点から玄関先まで)」という言葉に、最後にお客様に笑顔を届けるという付加価値を重ねた素敵な造語なのだ。効率化や自動化が進む物流の世界で、あえて人の温かみや顧客体験に焦点を当てたこのコンセプトについて話を進めていこう。

これまでの物流は荷物をいかに早く、正確に運ぶか、という物理的な移動がゴールだった。しかし、ラストワンマイルの考え方では、玄関先での数秒間のやり取りを、ブランドと顧客の重要な接点と捉え直している。

とくに最近では買い物の主流と言っても過言ではないネットショッピングの場合、消費者がそのショップと関わるのが配送ドライバーと対面する瞬間だけだ。そのため、荷物を受け取るときの丁寧な受け答えや、荷物の扱い一つで、ショップ全体の印象が大きく変わるという心理的効果がある。

そうはいってもデジタル化が進み置き配や宅配ボックスへの配達が普及する一方で、対面配送における安心感が見直されているのもまた事実。

さらに定期的な配送を通じて、地域の高齢者の異変に気づくことなどは、効率重視のロボットには難しい、人間ならではの形と言える。また飲料のケースや大型家具など、単に置くだけでなく「助かった」と思わせる気遣いが、リピート利用に直結するのだ。

こうした相乗効果があるラストワンマイルというコンセプトだが、実際にドライバーの労働環境とラストワンマイルの相関はどうだろうか。なかでも2024年問題との向き合い方は重要な項目であることは間違いない。

とくに労働時間の制限や再配達の削減は、単なる規制対応ではなく、ドライバーが心身ともに余裕を持って笑顔で働ける環境づくりの一環なのだ。

こうしたことから、配達員の評価が単なる配達個数だけでなく、顧客からの「ありがとう」のフィードバックを評価に組み込む企業も増えているという。

またラストワンマイルの一環として、ユニフォームも進化している。威圧感を与えない、街の景観に溶け込むようなデザインの制服が、安心感と笑顔を生む心理的効果もある。

効率を追求した先に待っているのがAIやロボットだとしたら、幸福を追求した先に残るのが人間による配送ではないかと考えるのは、おかしなことではないだろう。

物流とは、単にモノを動かすことではなく、送り主の想いを、受け取り手の日常に馴染ませる仕事なのだから。玄関先で交わされる「お疲れ様です ありがとうございます」この数秒の交流こそが、どれだけ技術が進歩しても物流の真ん中に人間が必要な、もっとも純粋な理由なのかもしれない。

PHOTO GALLERY

ページトップに戻る