AIは物流をどんなふうに変えていくのを考えてみよう

物流におけるAIの進化は、いまや便利ツールの域を脱し、物流の脳として自ら判断し、動くフェーズに入っている。2024年問題の本格化を経て、2026年現在は「AIがいなければ物が運べない」という状況となったのは事実だろう。

様々な分野で活躍しはじめたAIは、物流業界においても非常に重要なファクターとなったわけだが、ここでは今後の発展性を含め、考えてみようと思う。

物流における配車計画は、これまで熟練者の経験に頼っていたが、AIがそれを数分で終わらせる時代になった。 渋滞情報、天候、配送先の荷待ち時間だけでなく、ドライバー一人ひとりの残り運転可能時間を計算し、法令順守と効率を両立したルートを瞬時に弾き出してくれる。

また競合他社同士でも、AIが荷物をマッチングさせ、帰り便の空車を埋める「共同輸配送」の司令塔になっている。こうした変化の結果、積載率の劇的な向上が期待されるようになった。

実際に荷物を運搬するドライバーがAIの恩恵を受けるのはもちろんだが、その影響は、倉庫内にも及ぶことになる。マテハンとの関連性も高い倉庫内作業だが、AIが目と手足を持つことで、倉庫は巨大な自動販売機へと進化していくのだ。

例えば自律走行ロボットが最たるAI化の象徴だろう。床に誘導用テープを貼らなくても、AIがカメラ映像から「ここは通れる」「あそこに人がいる」と判断し、最適な最短ルートを自ら開拓して走り回る。さらに以前は苦手だった柔らかいものや形がバラバラなものを、AIが形状を瞬時に解析して適切な力加減で掴めるようにもなった。これだけでも倉庫内の作業効率は格段にアップすると同時に、人間が介入する度合いも大きく減ることになる。

こうなると、AIはさらに深く物流の中へと入りこんでいく。それが予測から自律的な意思決定への転換だ。つまり、それまでAIの役割は予測であったが、進化することで実行へと移り変わっていく。

これは需要予測と在庫の自動配置へとつながり、過去のデータだけでなく、SNSのトレンドや気象データから次に何が売れるかを予測することができるというわけだ。その悔過に基づいて、AIが人手を介さず、全国の拠点へ在庫を自動的に移動・配置させるのだから、まさに物流の完全なるオートメーションということになる。

こうなるとAIがどこまで進化していくのかを知りたくはならないだろうか。例えば仮想空間に倉庫を丸ごと再現し、明日、急に注文が2倍になったらどう動くべきかを事前に何万通りもシミュレーションし、最適な人員・ロボット配置を現場に指示したりすることなど、まさにAI主体の流れとなるわけだ。

こうした進化の中、我々に身近な変化や進化と言うと自動運転がある。自動運転トラックの社会実装がスタートし、まさに今、大きな転換点を迎えている。特定条件下での完全自動運転では2026年度中には、新東名高速道路などで東京〜大阪間の長距離走行テストが本格化する。

この流れの先には高速道路のインターチェンジ付近に大型の中継拠点を設置。高速道路はAI自動運転トラックが走り、街中の複雑な配送は人間が担当するという、役割分担が明確な新しい物流インフラが整いつつあるというわけだ。

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