完成状態で買えない?トラック「架装」の本質

中古車販売店に並ぶトラックを見れば、バンボディやウイング車など、すぐに仕事に投入できる「完成形」が当たり前のように揃えられている。しかし、これを新車で買おうとした場合には話が一変する。実は、新車のトラックは「架装」をしなければ、現場で使える一台にはならないのだ。

トラックの基本的な構造は、「キャビン・シャシー」と「架装(上物・ボディ)」2つで成り立っている。キャビン・シャシーは、キャビンとエンジン、そしてそれらを支え荷台の土台となるフレーム(シャシー)を指す。これを製造するのは、日野・三菱ふそうトラックバス・UDトラックス・いすゞといった、名だたるトラックメーカーなのだ。

架装(上物・ボディ)は、シャシーの上に載る荷台部分のことだ。この部分は、基本的に自動車メーカーが作るものではない(標準的な平台やバンボディなど一部の架装はトラックメーカー製のものがある)。専門の「架装メーカー」が、製造を担うといった明確な役割分担が存在するのだ。つまり、新車発注とは「土台をメーカーが作り、上物を専門業者に作らせる」という共同作業になるのである。

架装メーカーは、全国に数多く点在している。一例を挙げれば、極東開発工業・新明和工業・北村製作所・日本フルハーフ・矢野特殊自動車などである。トラックドライバーなら、一度は聞いたことのある社名も多いのではないだろうか。これらの会社は架装の製造元として、荷台の隅に貼られたステッカーにその名が刻まれている。なお、各トラックメーカーは効率化のために、傘下に架装メーカーを持っているケースも多い。

・日野自動車… トランテックス

・三菱ふそうトラックバス…パブコ

いすゞ自動車… いすゞ車体

などがそれだ。

新車でトラックを購入する際に完成形を手に入れるには、これらの架装メーカーに直接発注をするか、あるいはディーラーを通じて詳細なオーダーを出さなければならない。特殊な架装は、多くが架装メーカーに直接発注するという。中古車が仮装された完成形で売られているのは、前のオーナーがこの複雑な工程をすべて済ませているからだ。

架装は、使用目的によって最適解が異なってくる。それが、架装の奥深さだといえよう。このように、架装には用途に合わせた様々な形状が存在しているが、よく見かける主なタイプは以下の通りだ。

・平ボディ

屋根がなく床面が平らになっている、もっとも汎用性の高い形状。軽トラから大型まで幅広く使用され、荷役の自由度が高いという特徴を持つ。

・バンボディ

主に、アルミ製の箱型架装。密閉性が高く、雨風や盗難から荷物を守ることができる。街中で最も目にするタイプだ。

・幌車

骨組みに、帆布を被せたタイプ。バンより軽量で、一定の防水性を確保しながら積載量を確保できる。

・ウイング車

側面が、鳥の翼のように跳ね上がる。フォークリフト使用し、側方から効率的に積み降ろしができる。

・ダンプ

油圧ピストンで、荷台を傾斜させることができる。土砂などの積載物を、一気に排出すべき現場で威力を発揮する。

・トレーラー

トラクタ(ヘッド)で、牽引される。自走能力はないが、大量輸送における主役である。

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