空になっても消えない――トラックの荷台ににおいが残る理由

魚介類や青果物、香辛料、飼料、化学製品などを運んだ荷台には、荷物を降ろした後もにおいが残ることがある。床や壁の継ぎ目に入り込んだ液体や臭気成分を除去しなければ、次の積荷へ移る可能性もあるため、清掃と乾燥が欠かせない。

荷物がなくなっても、においは残る

トラックの荷台は、荷物を降ろせば元の状態に戻るとは限らない。魚介類や肉類、野菜、香辛料、肥料、飼料、塗料など、強いにおいを持つ貨物を運ぶと、臭気成分が床や壁に付着することがある。

液体が漏れた場合は、床板の継ぎ目や隅、ラッシングレールの周辺などへ染み込みやすい。表面だけを拭いても、内部に残った汚れが時間の経過とともに再びにおいを発するケースも珍しくない。

冷凍・冷蔵車では、庫内の空気を循環させながら温度を保つ。そのため、発生したにおいが荷室全体へ広がり、壁や天井、冷却装置周辺にまで付着する可能性がある。荷台が空になった後でも独特のにおいを感じるのは、こうした構造や使用環境が関係しているわけだ。

食品輸送の衛生管理では、積み込み前に床、壁、天井を含む車内の清掃状態を確認し、不快臭や汚染の有無を点検する考え方が示されている。

次の積荷へにおいが移ることもある

荷台に残ったにおいは、単にドライバーが不快に感じるだけの問題ではない。次に積む商品へ移れば、品質事故や荷主からの苦情につながる恐れがある。

特に、紙製品、衣類、家具、寝具、食品などは、周囲のにおいを吸着しやすい。見た目には異常がなくても、箱を開けたときに魚や薬品のようなにおいがすれば、商品として扱えなくなる場合も考えられる。

異なる食品や、食品以外の貨物を運んだ車両を再び食品輸送に使う場合、食品衛生法施行規則では、効果的な洗浄を行い、必要に応じて消毒することが求められている。これは汚れや微生物だけでなく、異臭を含む汚染を次の貨物へ持ち込まないためでもある。

そのため、運送会社によっては、生鮮食品用、一般雑貨用、化学製品用など、車両の用途を分ける。強いにおいが付着しやすい荷物を積む際に、床へシートや養生材を敷くのも有効な対策となる。

洗うだけでなく、乾燥と換気が重要

荷台のにおいを取る基本は、原因となる汚れを取り除くことだ。掃き掃除だけでは足りず、付着した液体や油、食品残渣を洗剤や水で洗い流す必要がある。隅や溝、排水口、扉のゴム部分まで確認したい。

ただし、洗浄後に荷室を閉め切ると、湿気がこもりやすい。濡れた状態を放置すれば、カビや雑菌が増え、別のにおいを発生させる原因にもなる。扉を開けて十分に換気し、床や壁を乾燥させてから次の荷物を積むことが大切だ。厚生労働省の衛生管理資料でも、運搬具の荷台は汚れを除去したうえで、よく乾燥させる手順が示されている。

消臭剤を使えば一時的ににおいを弱められるものの、汚れそのものが残っていれば根本的な解決にはならない。原因を取り除き、洗浄し、乾燥させ、積み込み前に人の鼻でも確認する。こうした地道な作業が、次の荷物の品質を守っている。

トラックの荷台に残るにおいは、輸送の履歴そのものともいえる。だからこそ、荷物を降ろして終わりではない。次の仕事に備えて荷室を元の状態へ戻すところまでが、輸送品質を支える重要な仕事なのだ。

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