港に積まれた空コンテナは、ただ置かれているのではなく、次の輸出に備え、保管・点検・修理・回送を行い、地域ごとの需要差を調整している。
空コンテナを次の輸送まで待機させる場所

港でよく見かける、荷物の入っていないコンテナが何段も積まれた一角。単なる空き箱の保管場所に見えるが、実際には海上物流を支える重要な施設である。
輸入貨物を届け終えたコンテナは、どこに返してもよいわけではない。船会社などから指定された港やコンテナデポへ返却し、次の輸送に備えて保管する必要がある。輸出貨物を積む際には、逆に指定された場所から空コンテナを引き取る。
つまり「空コン置き場」は、コンテナの待機場所であると同時に、必要な場所へ必要な箱を供給するための在庫拠点なのである。国土交通省も、貨物を降ろした後の空コンテナを指定の港やデポへ返却する必要があり、その回送が物流事業者や荷主の負担になると指摘している。
余る地域と足りない地域の差を調整する

コンテナ物流では、輸入貨物が多い地域に空コンテナがたまり、輸出貨物が多い地域では空コンテナが不足するという偏りが起こる。
輸出用の空コンテナが不足すれば、荷主が貨物を準備していても船に積むことができない。反対に、余剰コンテナが増えすぎれば、港やターミナルの限られたスペースを圧迫し、荷役作業やトラックの動線にも影響する。
そこで空コン置き場が、地域ごとの需要差を吸収する「物流のバッファー」となる。余っているコンテナを一時的に集め、輸出需要が発生した場所へ回送することで、コンテナ不足による物流の停滞を防いでいるのだ。国土交通省の資料でも、余剰地域から不足地域への空コン回送と、需要に応えるための保管場所の確保が重要とされている。
保管だけでなく点検・修理・回送も担う

空コン置き場の仕事は、コンテナを積み上げておくことだけではない。返却されたコンテナは、外板のへこみ、扉の開閉、床の損傷、内部の汚れなどを確認し、次の貨物を安全に積める状態へ整える必要がある。
損傷が見つかれば修理や清掃を行い、使用可能なコンテナとして再び輸送に戻す。実際に海外の専用デポでは、修理工場、空コン専用荷役機械、自動ゲート、在庫を管理する情報システムなどが設けられている。
さらに近年は、輸入で空になったコンテナを近隣の輸出荷主が再利用する「コンテナラウンドユース」も進められている。遠い港まで空箱を返す走行を減らせれば、輸送費や燃料、ドライバーの拘束時間を抑えられる。港のゲート前渋滞や二酸化炭素排出量の削減にもつながる。
空コン置き場は、貨物そのものを扱う主役ではない。しかし、必要な場所に、必要な種類のコンテナを、必要な数だけ供給できなければ、船もトラックも荷主も動けない。何も入っていない箱を管理する場所こそ、世界の物流を止めないために欠かせない存在なのである。
