なぜ配送車の後ろは真っ黒? 荷室を隠す4つの理由

配送車の後ろの窓が黒いのは、盗難防止や個人情報保護、日射対策のためだ。荷室を見せないことは、荷物を守り作業性を高める工夫でもある。

荷物を見せないことが防犯対策になる

街中を走る宅配便やルート配送の軽バンを見ると、後部の窓が黒く、外から荷室の中がほとんど見えない車両が多い。

乗用車にもプライバシーガラスは使われているが、配送車の場合はさらに濃いフィルムを貼ったり、窓そのものをパネルで覆ったりしている場合もある。

大きな理由のひとつが盗難防止だ。

配送車の荷室には、一日分の宅配荷物や商品、工具、業務用品などが大量に積まれている。窓が透明なら、外から車内をのぞくだけで、どのような荷物が積まれているのか分かってしまう。

段ボール箱に書かれた企業名や商品パッケージなどから、中身を推測される可能性もある。

そこで荷室の窓を濃くしたり、完全に覆ったりして、中に何があるのか簡単には分からないようにしている。

もちろん、窓を黒くしただけで盗難を完全に防げるわけではない。それでも、「何が積まれているか分からない状態」にすることは、車上荒らしの対象になりにくくする基本的な防犯対策のひとつだ。

荷物だけでなく個人情報や日射からも守る

配送車が守っているのは荷物そのものだけではない。

宅配荷物には送り状が貼られており、氏名や住所などの個人情報が記載されている。荷室の中が外から丸見えなら、停車中などにこうした情報を見られてしまう可能性もある。

企業向けの配送でも、納品先や商品内容が分かる荷物を運ぶことがあるため、荷室を見えにくくする意味は大きい。

さらに、黒い窓には日射を抑える役割もある。

夏場はガラス越しに直射日光が入ると、荷室内の温度が上がりやすい。濃色ガラスや遮熱性能を持つフィルムを使えば、日射による熱の侵入をある程度抑えることができる。

もちろん、冷蔵車のように温度を一定に保てるわけではない。それでも食品や印刷物、電子機器など、高温をできるだけ避けたい荷物を運ぶ際には意味がある。

また、紫外線による商品の色あせや包装の劣化を抑える効果も期待できる。

実は窓がないほうが仕事には都合がいい

配送車の荷室では、荷物を積み重ねたり、棚を設置したりすることが多い。

そのため、後部に窓が付いていても、実際には荷物や棚で塞がれてしまい、窓としてほとんど使われていないケースも珍しくない。

商用バンには、最初から後部側面をガラスではなく鋼板にした仕様もある。

窓をなくしてパネル化すれば、荷物を完全に隠せるだけでなく、荷室の内側に棚や固定器具を取り付けやすくなる。配送という仕事を考えれば、むしろ窓がないほうが使いやすい場合もあるのだ。

一方で、荷室を見えなくすると後方確認がしにくくなるというデメリットもある。

ただし配送車では、荷物を満載すると、もともとルームミラーから後方が見えなくなることも多い。

そのため最近では、左右のドアミラーに加えて、バックカメラやデジタルインナーミラー、後方センサーなどを使って安全を確保する車両も増えている。

なお、外から黒く見える窓が、すべて後付けのスモークフィルムというわけではない。

メーカー純正のプライバシーガラスの場合もあれば、荷室側に目隠し板を入れている車両や、広告・社名入りのシートを貼っているケースもある。

配送車にとって荷室は、単なる車内ではなく、大切な商品や荷物を預かる「仕事場」だ。

盗難から荷物を守り、個人情報を見せず、日射を抑え、荷室を使いやすくする。そのための工夫が、配送車の後ろの窓が黒く見える理由なのである。

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