北海道で収穫された大根とブロッコリーを満載した冷凍トレーラーは、苫小牧港を出港。長谷川美奈子さんとスカニアによる1800kmの輸送は、いよいよ北海道を離れ、本州へと舞台を移す。
_slide_large_sharp-1024x683.jpg)
フェリーで福井県・敦賀港へ渡り、そこから神戸まで陸路を走る。そして神戸ではトレーラーだけが九州行きの船へと引き継がれる。ひとりのドライバーが全行程を走り切るのではない。トレーラーと船、そして各地のドライバーが荷物をつないでいく。そこには、今後の長距離物流を考えるうえで欠かせない「ドレージ」の姿があった。
苫小牧から敦賀へ、海上輸送でつなぐ

青果を積み終えた長谷川さんは、満載の冷凍トレーラーを牽引して再び日勝峠を越え、20時30分ごろに苫小牧東港へ到着。23時30分発のフェリーで北海道を後にした。
長距離輸送において、フェリーは単なる移動手段ではない。陸路であれば走り続けなければならない時間を海上輸送に置き換えることで、ドライバーは航海中に休息を取れる。人と荷物を同じ船に乗せて移動する仕組みは、長距離物流の持続可能性を支える重要なピースだ。
翌日の20時30分、フェリーは敦賀港へ着岸。北海道から運ばれてきた青果は、ここで再び本州の道路を走り始める。
敦賀から神戸へ、さらに九州を目指す

-1024x683.jpg)
敦賀港を出た長谷川さんは、国道161号を南下。京都東インターから名神高速、阪神高速へと進み、神戸方面へ向かう。
目的地は六甲アイランド近くの中継ヤードだ。ここでスカニアから冷凍トレーラーを切り離す。しかし、輸送はここで終わりではない。
翌朝、トレーラーだけが北九州行きのフェリーへ積み込まれ、新門司港へ向かう。到着後は現地の別のトラクタが連結し、九州各地の市場へ青果を運ぶ。北海道から九州まで、荷物を積み替えることなくトレーラーそのものをリレーしていく仕組みだ。
長距離物流を支える「ドレージ」

長谷川さんが普段担当しているのが、港や中継拠点をトレーラーで結ぶ「ドレージ」だ。
トレーラー輸送の強みは、荷物を別の車両へ積み替えずに、シャシーごと次のトラクタへ引き継げる点にある。フェリーやRORO船を利用すれば、トレーラーだけを海上輸送し、到着港で別のドライバーが受け取ることも可能だ。
ドライバーの労働時間が厳しく管理される現在、ひとりが長距離を走り続ける輸送には限界がある。トラック、船、そして各地域のドライバーを組み合わせたリレー輸送は、拘束時間を抑えながら大量の荷物を運ぶ方法として、ますます重要性を増している。
海上輸送ならではの苦労もある


とはいえ、船を使えばすべてが快適というわけではない。
旅客フェリーには食堂や売店、自動販売機などがある一方、貨物輸送を中心とするRORO船では設備が限られる場合もある。長谷川さんは、乗船前に弁当や飲み物を準備しておく必要があると話す。
それでも、海上輸送とドレージを組み合わせるメリットは大きい。北海道で収穫された青果を、鮮度を保ったまま本州へ、そして九州へ。1800kmにおよぶ輸送を支えていたのは、一台のトラックだけではなかった。

トレーラー、フェリー、そして各地でハンドルを握るドライバーたちが荷物をつなぐ。そのリレーこそが、日本の食卓を支える長距離物流の最前線なのである。
※本記事は『トラックスピリッツ VOL123』(交通タイムス社刊)の内容をもとに再構成しています。
