
パッと見ただけは普通のダンプトラックとあまり変わらないのが三転ダンプ。さらに似たようなサイドダンプというものがあります。どちらも建設現場や土木工事の分野で広く利用されている特殊なダンプトラックですが、実際に荷台を左右に動かしている光景はあまり見かけないかもしれません。そこで、ここではより動く方向が多い三転ダンプについて説明していきます。
三転ダンプはその名のとおり「3方向」に荷台を傾けて荷下ろしが可能な構造を持ち、多様な現場ニーズに応える優れた利便性と効率性を兼ね備えています。通常のダンプトラックは後方にのみ荷台が傾いて土砂などを荷降ろししますが、三転ダンプは後方に加え、左右どちら側にも荷台を傾けて積載物を降ろすことができるため、狭い現場やスペースが限られた場所でも柔軟に作業が行えるダンプトラックなのです。

三転ダンプは車体のサイズや荷台の形状を問わず、荷台が左右と後ろの3方向に動きますが、この複雑な動きを実現するために、接続部が「ボールジョイント」という特殊なものになっているのも特徴のひとつです。
そして、三転ダンプは様々な現場で活躍しますが、特に道路脇での工事など片側車線のみで作業をする場合、車線の反対側に荷降ろしができるため非常に効率がいいのです。また砂利などを撒く作業では、積み込んだ砂利をさまざまな方向に撒くことで、敷き詰めて広げる作業がスムーズに行えることから、三転ダンプを使用することが定番となっています。

三転ダンプと似たようなタイプにサイドダンプというものがありますが、こちらは荷台が左右に動くダンプトラックです。そして三転ダンプはサイドダンプの動きに加え、後方にも荷台が傾くため、通常のダンプとサイドダンプの機能を持ち合わせるマルチな1台として使えるというわけです。
その一方で、構造が複雑なのでメンテナンスにコストがかかることや、標準的なダンプトラックと比較して価格が高い傾向にあります。三転ダンプは荷台を傾ける方向が多く、ジョイント部分がボールジョイントという構造になっているのですが、複雑な構造のであることから他のダンプトラックに比べややデリケートだといえます。
しかし、そのデメリットを補っても有り余る使い勝手所良さがあるため、工事現場ではその力は非常に頼もしいものです。

荷台を左右に傾斜させている姿はタイミングが合わないと、なかなか見ることができませんが、もしその場面に遭遇したらぜひじっくりと観察してみてください。
左右に大きく荷台を傾ける姿は、迫力があって一見の価値ありです。