すごいぞ!三菱重工が挑む「合流支援システム」

物流業界が直面する「2024年問題」。その解決策の切り札として期待されるトラックの自動運転化が、いよいよ現実味を帯びてきた。2025年3月、新東名高速道路の駿河湾沼津SA〜浜松SA間において、官民合同の大規模な実証実験が開始されたのである。平日の深夜帯、第1レーンを「自動運転車優先レーン」に設定し、レベル4の自動運転トラックを走らせたのだ。

この実験において注目すべきは、三菱重工グループが開発した「合流支援情報提供システム」だ。高速道路において、ドライバーが神経を擦り減らす場面といえば「合流」であろう。本線を走行中に加速車線から入ってくる車両との間合いを始め、サービスエリアやインターチェンジなどから本線へ合流する際、大型車なら加速の鈍さを計算に入れながら、他車の動きを予測しなければならない。これらは、熟練の「読み」が必要な職人芸に近い領域だ。

これは自動運転車にとっても同様で、合流は最大の難所といっても過言ではない。車両に搭載されたセンサー(カメラやレーダー)には死角があり、遮蔽物の陰から突っ込んでくる一般車の動きを完璧に把握することは、なかなか難しいのだ。この課題を車両単体ではなく、道路インフラと連携することよって解決しようというのが、三菱重工の「路車協調」である。

このシステムが優れている点は、その精度と即時性だ。具体的な仕組みは、以下の通りである。

・路側の高度な検知能力

道路側に設置された高性能な車両検知センサーが、合流しようとする一般車両の動きをリアルタイムで補足する。

・情報の瞬時提供

検知された情報は、路側処理装置を通じて即座に自動運転トラックへ送信される。

・高度な速度調整

自動運転のトラック側は、「見えない位置に車両がいる」ことを事前に把握し、最適な速度調整を行ってスムーズな合流を可能にする。

・一般車への啓発

これら一連の動きに合わせて自動運転トラックの接近を道路情報板に掲示し、一般車側にも知らせて注意を促す。

箇条書きにすると単純そうに見えるが、100㎞/h近い速度域でコンマ数秒の遅れも許されない通信環境を構築するのは、至難の業だといってよい。三菱重工が持つ防衛・宇宙・社会インフラで培われた技術が、この「一瞬の判断」を支えているのである。

このシステムが真に「すごい」と言われる理由は、これが自動運転トラック専用の技術で終わらない点にある。

このシステムは、既存のETC2.0やITS Connectといった通信規格に対応している。つまり、将来的にはこれらの受信機を搭載した一般車両などにも、この「合流支援情報」を届けることが可能になるのだ。もし、霧で視界が悪い夜間や雨天時の合流部で、「左後方から車両接近中」などといった確実な情報が届くようになれば、事故のリスクは劇的に低減することになるだろう。

完全な自動運転がすべての道路で実現するまでには、まだ相当の時間が必要だといわれている。しかし、今回の「合流支援技術」はそれを実現するための大きな一歩になるといえよう。この実験で得られる成果を基に、日本の物流の未来がより便利で安全なものになっていくのではないだろうか。

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