なぜ“バンパーライト車”は手強いのか? 平成期以降のトラックをカスタムするワザ

みなさんは“バンパーライト車”という呼び方をご存知だろうか。トラックメーカーや車種名ではなく、また(機能や用途別の)ボディタイプとも違う。「バンパーライト車」とは文字どおり、バンパー部分にヘッドライトが組み込まれているデザインを持つトラックの呼び名だ。それまでのトラックのデザインといえば、キャビン前面の下側にヘッドライトがあり、その下にバンパーが取り付けられているのが一般的だった。

デコトラやアートトラックなどにカスタムする際、「バンパーをどうデザインするのか」が大きなポイントであり定番でもある。「前出し」という純正バンパーを標準位置よりも前方へ押し出すように加工したり、「ラッセルバンパー」というラッセル車風のデザインもある。さらにはラッセルバンパーの下の一部をカットしてサイドから見た際に「く」の字になるような形状の「ラッセル戻し(バンパー)」というカスタムも大流行した。加えて、メッキを施したり、様々な素材や飾りをつけて独自のデザインを構築していくわけだ。ことほど左様にトラックのカスタム派にすれば「バンパーをどうデザインするか」が重要になる。

ところが。バンパーの一部にヘッドライトがある「バンパーライト車」が平成期に登場する。そんな車両がベースとなるとデザインの自由度は一気に減り、また機能を満たす上で技術的にも難しくなってしまう。ではなぜ、トラックメーカーはそのようなデザインにしたのだろうか。まさか「カスタムしにくくする」ことが狙いではないはず。

そもそも国産メーカーによるバンパーライト車の登場は1994年まで遡る。いすゞの大型トラックブランド「ギガ」が先駆けだ。その後は日野、UD、ふそうもモデルチェンジの際に大型車&中型車がバンパーライトデザインへと追従する。その理由は簡単にいえばグローバル化によるもの。もう少し具体的いえば国交省による保安基準の“欧州協調”がきっかけだ。それまで国や地域ごとに異なっていた保安基準を、なるべく欧州基準に合わせることで効率的な開発&コストダウンを促進しよう、ということだ。そんな流れによって現在では、多くのトラックがバンパーライト車デザインになっている。

ではそんな現在、カスタム派はどう対処するのだろうか。

当初こそ「バンパーライト車以前のモデルを(探して)カスタムする」ことが多かったがどっこい、カスタム派は車両の進化に合わせて工夫したり、新たな手法でカスタムを楽しんでいる。デザイン上の制約や(前照灯や本来のバンパーとしての)機能の保持という課題をクリアしながら、いまも最新のトラックをベースにアートアップしている。そんなお手本ともいうべきトラックをいくつか紹介しよう。

日野17プロフィアをベースにメッキアイテムと運送会社のコーポレーテッドカラーを身に纏う。バンパー下には補助ランプ&ガードパイプを取り付けるなど、洋風なエクステリアが特徴だ(写真は静商事の龍奈丸)。

17プロフィアのハイルーフをカットし、わざわざグランドプロフィア用のルーフを装着し独自のスタイリングを構築した。ブラックカラーとメッキのモノトーンのコントラストが独特の雰囲気を醸し出す(写真は渡辺冷送の春貴丸5555番)。

上の車両と同じ運送会社の冷凍車。キャビンのドアメッキ化のほかに、荷台下にウロコ模様のステンレスを使った架装や、丸型タンクを2連装するなどディテールに凝ったカスタムトラックだ(写真は渡辺冷送の春貴丸8番)

平成27年式ふそうのスーパーグレート。バンパーライト車のダンプというカスタムしにくい車両ながらも洗練されたカスタムが施されている。キャビン周辺の飾りは控えつつも、鏡面ステンレスの波板を張ったダンプ荷台が圧倒的な耀きを放つ。荷台の背面には和風かつ地元由来のペイントが描かれている(写真は光南進丸)。

最後は平成29年式のグランドプロフィア。超ド級のトラクタ(トレーラーヘッド)だ。フロントパネルにスムージング手法を取り入れるなど、シンプルかつオリジナリティあるアダルトな印象に仕上がっている(写真は日本急行の車両)。

※本記事および画像は、2023年8月発行の『REAL TRUCKS 4』の一部を引用・再編集したものです。

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