高速道路の規制帯はどう作られる? 走行車両のすぐ横で進む命がけの安全作業

高速道路の規制帯は、予告看板、作業車、パイロンを組み合わせて作られる。走行車両の近くで進む危険な作業であり、ドライバーの減速と注意が安全を支えている。

規制帯は遠く手前の予告から始まる

高速道路でクルマが行き交うなか、どうやって規制帯を作っているのか。

高速道路はドライバーにとって、たいへん便利な交通インフラの1つである。信号がなく、スムーズに長距離を移動できる快適な空間だが、多くの車両が昼夜を問わずハイスピードで行き交うため、路面の劣化や損傷を避けることができない。ゆえに、安全な運行を維持するための点検や補修工事が不可欠になってくるのだ。

こうした作業を行うとき、全面通行止めにすれば安全に点検や工事を行うことができるが、それでは多くのドライバーが高速道路を使用できなくなってしまう。そこで、複数ある車線の一部を規制して順番に作業を行うようにするわけだ。

現在の高速道路は、区間によって制限速度が110km/hや120km/hにまで引き上げられている。そんな猛スピードで多くのクルマが通過する中、一体どのようにしてあの「規制帯」を作り出しているのだろうか。

その作業は、まず遥か手前から行われる「予告看板」の設置から始まる。大きな電光表示板を載せたトラックが、ハザードと電光表示で後続車に注意を促しながら路肩に停まり、予告看板を降ろして設置する。

規制地点に到達すると、同様の表示を行いながら規制する車線にトラックを停車させ、これを「盾」にして後方に安全な作業スペースを確保するのだ。

発煙筒とパイロン設置にもプロの技術がある

場合によっては手前から発煙筒を投下して後続車に注意を促すが、これには細心の注意が必要になる。もし、高速道路の「つなぎ目(伸縮装置)」に使われている樹脂の部分に発煙筒が落ちると、引火して大火災に発展する危険性があるからだ。発煙筒を落とす場所ひとつにも、プロの技術が求められるのである。

トラックの影に隠れて安全を確保した作業員たちは、ここから一気に動き出す。発電機を稼働させ、規制を知らせる回転灯や矢板などの灯火類を配置。同時に、資材トラックから次々とパイロン(カラーコーン)を車線に降ろしていく。もし、パイロンが通行車線側に転がれば大事故に直結するから、その受け渡しは絶妙の呼吸で行われるのだ。

パイロンは規制開始地点から斜めに配置、いわゆるテーパー設置され、そこから車線に沿って並べられる。夜間に現場を通るとパイロン自体が綺麗に光っているのを見かけるが、あれは内部に光源が仕込んであるからだ。最新のコードレスLEDを使用している現場も増えたが、ひとつひとつにリールコードを繋いで電球を灯していくといった、地道な手作業を行っているところも少なくない。

規制帯の安全は作業員とドライバーで守る

こうしてすべての配置が終わると、盾になっていたトラックがゆっくりと規制帯の内側へと移動し、ようやく安全な作業空間が完成する。最近は、自動でパイロンを設置できる特殊な車両も開発されているが、すべての現場に導入されているわけではない。今なお、多くの現場はこうした人による手作業に頼っているのである。

ドライバーにとって、高速道路の車線規制は渋滞の原因になる厄介な存在だ。しかし、作業員が命を張ってメンテナンスをしてくれなければ、道路を安全に通行することは難しい。

せめて規制帯の手前では、しっかりとアクセルを緩めて制限速度を遵守することが、道路上で働くプロフェッショナルに対する、最低限のリスペクトなのではないだろうか。

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