キャブの後ろに立つ「鳥居」は何を守る? 平ボディの前壁が担う安全機能

平ボディの荷台前方に立つ枠状の構造は、通称「鳥居」と呼ばれる。積荷の前方移動を抑え、キャブ側への接触リスクを減らすほか、長尺物の支持や荷締めにも活用される。ただし、鳥居だけに頼らず、積み付けと固縛を確実に行うことが大前提だ。

急ブレーキで積荷は前へ滑ろうとする

平ボディトラックの荷台と運転席の間には、金属製の枠や壁のような構造が設けられている。神社の鳥居に似た形に見えることから、物流現場では「鳥居」と呼ばれている。全日本トラック協会の教材でも、鳥居は「運転席の後ろに取り付けてあるガード」と説明されている。

走行中の積荷には、発進、減速、カーブ、道路の段差などによってさまざまな方向の力が加わる。とっさに急ブレーキを踏めば、荷物は慣性によって前方へ滑ろうとする。特に鉄材、機械、石材、木材などの重量物が動けば、荷台前方やキャブへ大きな力がかかりかねない。国土交通省の指導資料でも、急ブレーキによって積荷に前向きの力が働くことが示されている。

鳥居は、前方へ移動した荷物を受け止める境界となり、荷台からキャブ側へ直接押し出されるリスクを小さくする。そのため、単なる荷台の飾りではなく、安全面に関わる重要な構造といえる。

荷止めだけでなく長尺物の支持にも使われる

鳥居の役割は、荷崩れ対策だけではない。パイプ、鉄筋、木材、足場材など、荷台より長い荷物を運ぶ際には、鳥居へ立て掛けるように積み、前方を高くして支持することがある。荷物の先端がキャブへ直接触れるのを防ぎ、荷姿を安定させやすくなる。

ロープや荷締めベルトを掛けるためのフック、格子、補強材などが設けられた車両もあり、積荷の形状に応じて固定の支点として使われる。上部にデッキを備え、シートやロープなどを収納する仕様も見られる。ただし、鳥居の形状や強度、装備内容は車両の用途によって異なる。

鳥居へ荷物を載せたり、強い力で引いたりしてよいとは限らない。想定以上の荷重をかければ、枠の変形や溶接部分の損傷につながる可能性がある。車両ごとの構造と積荷の重量を確認し、適切な位置で支える判断が必要になる。

鳥居があっても固縛は省略できない

最も注意したいのは、「鳥居があるから荷物は前へ動かない」と考えることだ。鳥居はあくまで補助的なガードであり、積荷を固定する主役ではない。

箱物は前後左右の隙間を小さくして前方から整然と積み、鳥居なども利用しながら動かないようにすることが推奨されている。さらに平ボディでは、シートを掛けるだけで済ませず、ロープやベルト、チェーンなどで積荷を確実に固縛しなければならない。

重量物では、角材や止め木、滑り止め材を併用し、前後左右への動きを抑える必要がある。出発前だけでなく、走行途中にもベルトやロープの緩みを点検したい。急ハンドルや急ブレーキを避け、十分な車間距離を取る運転も荷崩れ防止につながる。

平ボディの鳥居は、積荷とキャブの間に立つ最後の境界だ。前方への荷動きを抑え、長尺物を支え、固縛の補助にもなる。しかし、本当の安全をつくるのは、正しい積み付けと確実な荷締め、そして積荷を動かさない運転と言うことをお忘れなく。

▼合わせて読みたい

PHOTO GALLERY

ページトップに戻る