なぜ昭和のデコトラはカッコいい? 美車のカリスマが「飾りの方程式」を解く【前編】

1970年代のなかばに発足したデコトラオーナーたちによる「哥麿会」。第1次デコトラブームを牽引することになる同会に当初から参加していたという内藤久幹さん。自身の名機「シルバーサタン」の名声はもとより、他者のデコトラ製作も数多くプロデュースしたデコトラ会のカリスマのひとりだ。そんな内藤さんに昭和期のデコトラの様式美や優れた飾りのテクニックを解説してもらった。

デコトラ好きならば誰もが知る「哥麿」。哥麿会の初代会長を務めた宮﨑靖男さんの愛車だ。見るものの度肝を抜くそのいでたちは、関東流の飾りそのものといわれている。その特徴の1つがマーカーの多用ではなく「アンドンで魅せていく」という手法。一見、派手なようで実際はシンプルな飾りの組み合わせで存在感をアピールしている。内藤さんの注目は「バンパーの厚みに対しての、キャリアの大きさ、プロテクターの高さ」だという。そのバランス感覚こそ哥麿の哥麿たるゆえんでもあるのだ。

とにかくアンドンの多さが目立つ「竜二丸」。三重県のデコトラだが、マーカーに頼らずアンドンを多用しながら構築しているのが特徴だ。またアンドンの文字はカラフルで関西流っぽさを感じるものの、どちらかといえば関東流の雰囲気をもった車両。内藤氏は「アンドンの数ではなくその形状や配置の仕方が重要で、そのバランスに優れた車両」と評している。

この「村上造園」は、初代のフォワードをベースにしている珍しい車両だ。そのキャビンの形状やボディの短さなどから、カッコよく飾るにはなかなか難しい素材だからだ。しかもこの車両はレッカーアームまで備えているだけに余計に自由度に制約がある。それをここまでバランスよく仕上げている要因が「色とさまざまなアイテムの組み合わせ」だという。キャビンを3色に塗り分けることでベース車のイメージを払拭しつつ、メッキバンパーやハシゴのほか様々なアイテムを適度に配することで、全体としてまとめ上げている。

デコトラの飾り方が難しいといわれるダンプだが、この「ネオン化粧花電車」は別格の存在感を放っている。無数のマーカーをキャリアやフロントマスクの胸に付けつつ、さまざまなアンドンと組み合わせて構成している。アンドンもスクエアではなく扇状のデザインとするなど独自色もしっかりある。とくにグリルをアンドンだけで埋めるという手法はそれまで例がないものだった。映画『トラック野郎』主役の「一番星号」にも通じる飾りの手法だけど、似ているわけではない。そんな息吹を感じさせる車両だ。

丸みを帯びたフォルムの2代目エルフをベースしたバキュームカーの「雲龍丸」。このクルマの飾りのポイントは「大小サイズのギャップの妙」にあるという。キャリア部分には大きなアンドンをセンターに置くが、バランスをとるために小さなアンドンをセンスよく左右にセットする。大きなアンドンを据えて存在感を出しながらも、大味でもゴチャついたイメージでもない、高い完成度を誇っている。

※本記事および画像は、2025年9月発行の『REAL TRUCKS 8』(交通タイムス社刊)の一部を引用・再編集したものです。

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