荷台の左右が大きく開くウィング車。見た目からは複雑な操作を想像してしまうが、実際の開閉方法は意外なほどシンプル。運転席に並ぶスイッチの役割や、ウィングを開くまでの手順や構造を見ていこう。
ウィング車の運転席には見慣れないスイッチがいっぱい?


ウィング車というと、大きく開く荷台部分に目が行きがちだが、運転席そのものは一般的なトラックとそれほど大きく変わらない。
今回確認した車両も、キャビン内は比較的シンプルな造りだった。ただ、よく見ると赤いボタンや多数のスイッチが並んでおり、普通のトラックとは少し違う雰囲気がある。
まず目につく赤いボタンは、車両後部に装備されたパワーゲートを使用するためのもの。とはいえ、このボタンを押して直接ゲートを上下させるわけではない。
パワーゲートは電動式のため、このスイッチを入れておけば、エンジンを停止した状態でも作動させることができるのだ。センターコンソールに置かれたリモコンも気になるところ。こちらはエアサスを調整するためのものだった。つまり今回の車両は、ウィングの開閉機構だけでなく、エアサスとパワーゲートまで備えた仕様というわけだ。
そのほかにも、サイドミラーヒーター、蛍光灯、サイドマーカー、路肩灯、ヒルスタートアシストとその調整スイッチなどが並ぶ。
さらに「CUT」と表示されたボタンも見つかった。これはアイドリングストップをキャンセルするためのスイッチで、同じような機能でも普通車とは表示が違うところが興味深い。
「ウィングON/OFF」を押してもウィングは開かない?



スイッチ類の中には、そのものズバリ「ウィング ON/OFF」と書かれたボタンがある。
名前だけを見れば、これを押せば大きなウィングが動き始めると思うだろう。しかし、実際にボタンを押しただけではウィングは開かない。積載車などで使われるPTOのスイッチやレバーも見当たらないため、初めて触れる人なら「いったいどうやって動かすのか」と戸惑ってしまいそうだ。
実はウィング自体は電動で動くものの、キャビン内から直接開閉することはできないのである。まず必要になるのが、荷台下部にあるアオリを開けること。そのうえで車体外側に設けられたスイッチを操作する仕組みになっている。
そして、そのスイッチが意外なほど質素だ。巨大なウィングを持ち上げるのだから、大げさなレバーや特殊な操作装置を想像するかもしれない。ところが実際に付いているのは、ごく普通に見える押しボタンなのである。
反対側にも同じようなスイッチがあり、ボタンを押すとウィングがゆっくりと持ち上がっていく。

閉じるときもボタンを操作すれば、そのまま静かに降りてくる。迫力のある見た目に対して、操作そのものは拍子抜けするほど簡単ということだろう。
車体に貼られた取扱説明を確認すると、室内のウィングスイッチを入れてから、車外のボタンで開閉する手順がしっかり記載されていた。
つまり「ウィング ON/OFF」は開閉ボタンそのものではなく、ウィングを動かすための準備をするスイッチだったというわけだ。
パワーゲート付きウィング車は後ろの強度も大丈夫?

今回確認した車両には、後部にパワーゲートも装備されていた。
ここで気になるのが、パワーゲートを下げてウィングまで持ち上げたときの車体後部である。
周囲が大きく開いてしまえば、最後に残る枠だけで車体の強度を保てるのかと心配になる人もいるかもしれない。
しかし実車を確認すると、その心配は必要なさそうだった。
パワーゲートが収まる後部の枠は、かなり頑丈に補強されていたのである。大きく開くことを前提に、必要な強度が確保されているということだ。
また、車体外側にはパワーゲートを操作するためのリモコンを収納する箱も設けられていた。
ウィング車は、左右の荷台が大きく持ち上がる姿から、特殊で複雑な操作を想像しがちだ。ところが実際には、室内のスイッチを入れ、アオリを開け、最後に車外のボタンを操作するだけとなる。
巨大なウィングの動きとは対照的に、扱い方は思った以上にシンプルなのである。
なお、今回の車両は中古車ながらかなり高価だったという。実際に運転する機会もお願いしたものの、残念ながら許可は下りなかった。過去に4トン車を運転した際、上部の交通標識に気付かず荷台上部を破損させ、さらに標識まで曲げてしまった場面を所有者が間近で見ていたからだ。
高価なウィング車だけに、そう簡単にハンドルを任せてもらえないのも無理はないだろう。
